【 間取り・・・プランを科学する。】 設計考察 ⑤ 【DOMA/道南の家】

自分の設計の中で、特にシンプルな一例を上げる。
御夫婦の「終の棲家」として設計した【DOMA/道南の家】
ゲストルームや仏間兼用の和室が在るものの、
今年築10年を迎えるこの住宅は、要望諸室は
最小に近く、後に変遷する事は想定せず、
終のものとして設計に取り組んだ成果。

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竣工時の初冬、雪景色の中での外観。

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その曇天時の室内、朝の光景。

実に思い入れ深い設計だった。
道南にあれほど通ったのは初めてだった。
正直、今なら迷わずJRを使うと思う。

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図版にすると、このような具合になる。
DOMA』と名付けたとおり、ドマが要の住宅。
暖房方式と室内環境を保つ上でも欠かせない。
単純に余室とすれば面積を増やすだけの空間を
要に据えて面積増を抑えつつ肯定的に取り入れた。
全ての部屋から南遠方に函館山を眺める事が出来る。

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意識としては、こちらの図版の方が正しいだろうと思う。
オープンなワンルーム構成の大きな空間が基本の住宅。
これを水廻りや和室を交えて婉曲的に区分し、公私の
区別を創っている。実際、長い空間の住宅なので、玄関
から寝室までは遠く、視力1.5以上の私でも、先の空間を
眺めるのは止めてしまうくらいの距離感がある。
・・・今は近いところを見るのに苦労し始めてるけれど。

『居間中心型』でも『ホール中心型』にも属さない平面。
プランには様々、多くの可能性がある。安易に答えを求めず、
探す事を諦めなければ、必ず特殊でも答えを創る事が出来る。

10年の節目、見に行きたい。様々探検旅行を企画中だ。