室蘭。

私の通った母校、室蘭工業大学のある室蘭は第二の故郷、今もって特別な思いがある。始まったばかりの建築計画は様々な問題を抱えていて、この日は事前相談をすべく胆振総合振興局の建築課を訪ねた。打合せを終えると既に外は暗く、陽の短さは冬の近い事を実感させる。暗くはあったけれど折角来た室蘭なので、景勝地を巡る観光道路を走った。これは太平洋側に聳える断崖の尾根にある道で、そこで強風に曝された。近所に来ている台風の強烈さを思い知らされる。生まれて初めて経験したかと思う強さは恐怖を覚える程だった。にも拘らず、だからこそか、写真を撮らなければならない気になってしまう。尾根は立っているにもままならないので、少し隠れ風を避けられる所を選んでみたものの、立てた三脚がブルブル震え定まらない。

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トッカリショの絶景は夜に眺めるのは難しい。その反対側には実に室蘭らしい光景がある。山間に思い思いに築かれたように住宅が点在し、道路がくねり繋ぎ、そんな山が稜線を為しても重なり行き、遠くに測量山が見えている。とても立体的で奥行きのある風景。


f:id:N-Tanabe:20191026232919j:plainこれは御前水の山の上になると思う。室蘭を一望出来る。写真は左から、測量山、大黒島、白鳥大橋、手前には巨大な工場群、洋上には船が何隻も浮いている。室蘭は夜も眠らない工業都市だ。もう少し高い視点があれば整然と見えるとは思うのだけれど、様々が雑多に入江を埋めた風景は室蘭らしいのかもしれない。