オンネトー

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ここに来ればいつもBBQを楽しむ。珈琲を飲んだ後に湖畔を散策する。その道は好きだ。急斜面にしっかりしがみ付く木々の根が張り出し逞しい。自分の卒業設計を草案した際に思い浮かべた生命感がそこにある。散策路の先に低く傾いた陽が居る。

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20年前にもこれはあったと思う。きっともっともっと前から。水面に落ちた倒木の表面はコケが蒸し、そこに落ちてきた木の種が芽吹き、倒木を土台にして育つ。対岸の木々の緑と相まって見える風景は水盤を見ているのではなく、写り込む周囲の緑、それが入江の僅かに揺らぐ水盤で点描の様に浮き上がる。眺めて飽きないし、いつ訪ねても必ず写真を撮らされる。

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その対岸の岸辺、浅い場所は水苔?が陽を浴びて光合成をしているのか、気泡で覆われている。雌阿寒岳の活動状況によっては酸性度が増し、生物が消えた時期もあった。今はそれなりに生き物が居る。落ち着いているのかもしれない。子供の頃、ここでたくさんのザリガニを獲った。たぶん、その時に獲ったのは日本ザリガニ。小さかった。今居るのはウチダザリガニ摩周湖に持ち込まれたものがここにも至るらしい。なのでとても大きい。その他に小さな魚もいるし、トンボも居る。昔からサンショウウオは居たし、生命豊ではない故に青く澄んだ湖面、今はやや生物感のある湖。

珍しくこの日は近所の野中温泉に浸かる。硫黄臭に満ちた様、溢れる様に流れ出る湯。使ったタオルは二回洗っても硫黄臭が取れない。雌阿寒岳の活動はどうあれ、人には毒に違いない。それを相当に薄めると薬になるのだろう。ただ、それでもここの温泉はギリギリ毒な気がする。非常に効いた。疲れてあちこち痛いこの体には何とも心地良く響く。仕事が区切れば、1週間くらい湯治したい。