【 project S寺 】計画① 序章 「計画」について。

昨年から今年初めに行った計画の紹介を。
【 project S寺をこの連休に整理したので計画の事例としても案内したい。匿名であり特定出来る事は記せないけれど、設計における最初のステージ、「計画」がどの様に進められるのかをお知らせできると思う。

1.敷地を見に行く。敷地から何を感じるか、何があるのか見つけられるのか、些細な事、設計に関係無さそうな事であっても心に残るもの、障るもの、気になるもの、興味ひかれるものを観察する。ともかく何か感じるまで観察をする。

2.クライアントの要望を確認する。

3.既存建築が在る場合は観察をする。何が使え、何を使うべきかを知る。改善すべきがあれば合わせて知る。

先ずはこの3項目を行う。そこに在るものを理解し、設計においてどう使うかを想像する。無いものねだりはしても意味がない。在るものを使って何を再構成し得られるか、これが設計の基本になる。正しく知るには固定観念に捕らわれずに観察に徹する。
※クライアントの要望を具体的にするのは設計を通じて行われる。

4.法的条件を確認する。想定する建築内容と規模、用途から関係法規を確認する。何事も法を超えて建築する事は出来ない。

5.計画において必要な条件を役所にて確認をする。条例その他、条件を揃える事は欠かせない。所轄の役所、市役所や役場、時に特定行政庁を訪ねる。

6.公図及び地積測量図を揃える。これは法務局で出来る。但し、敷地の開発状況等によっては法務局扱いでは無いケースもある。敷地の特定は設計において特に重要だ。建築は「敷地」無しでは不可能になる。

次の3項目も欠かせない。建築は社会資本となるので公の条件が付く。法的解釈を含め設計における逃れられない基本条件の確認、把握が必要。ケースによって4項は確認申請機関となる事もある。法の詳細条件は計画の進捗に合わせ協議を要する事もある。先ずは計画するに必要な条件の確認を行う。地域によっては特殊な条例があるので役所調査は欠かせない。景観条例や風致地区など、設計の条件を見落とさずに。

敷地の特定は実は案外に難しい事がある。場合によっては当然ながら、敷地の測量を行う必要がある。敷地の寸法や高低差がある場合は把握しなければ計画する事が出来ない。

7.計画を始める。先ずはゾーニングを行う。敷地の何処に何を計画するか、様々なケースを想定する。使い勝手優先なら、印象的な佇まいを求めたら、要求が異なれば敷地の何処に何が適切かは異なって来る。現実に使える場所を確認しつつ想像をする。

8.効率的合理的経済的、一般には長所とされるそれら利便性を含めゾーニングのを具体的にして建築規模を把握する。敷地が特定出来ていれば、それだけで可能な設計もある。

9.計画を温める。8項目で効率的な設計は可能で、世の中の多くはこの段階で設計をしてしまう。けれど肝心な事が欠ける。それは「楽しさ」

楽しさとは様々、クライアントの要望の要になる。設計は通じてこの楽しさを探し見つけ具現にする事だと思う。8項目目までで終えられる設計もあるものの、9項目を忍ばせられるか?2割でも織り込めるなら好転出来る。得られればそれはコンセプトに成れる。

コンセプトとは楽しさを明文化したものになる。あとはどう得るか、料理のレシピの様なものを作る事が出来る。法的条件の中で得た素材、敷地環境や要望をどう料理すれば楽しさを得られるのか、そこまでを描く事が出来る。

このコンセプトメイクが9項目の目的、その楽しさを探すのが設計において難題になる。難題故に8項目までが一般的な建築になる。普及住宅は商品化されているので「楽しさ」は与えられ選ぶものになるけれど、本来の建築設計は創造する事になる。唯一の建築を求めて。手を動かしても得られるとは限らず、何が出来るのか?想を得るまで、温め待つ。答えを急いては既成の楽しさを真似るだけに成り兼ねない。想を得るまで温め待つのは試練なのだけれど、辿り着かなければ先へ進めない設計をしている。

・・・こういう話は書き出せばキリがなく、飲んで語り出せば容易に夜を明かせる。

計画①序章は、先ずはここまで。


計画① 計画② 計画③ 計画④ 計画⑤ 計画⑥ 計画⑦