Compact house 考 その⑩ 今回はここまで。

思い立ち夜な夜な思案を続けたこの考察は、正味2ヶ月ほどの事と思う。寝室を設けずにリビングに付属するアルコーブにベッドを置く事を許容し、コンパクトな住まいを考えてみた。アトリエの併設が主題の様にはなったものの、寝室を別ける事も同時に考えた事もあり、住宅の可能性を実践的に幾つか試みる事が出来た機会だった。新年、時間を浪費する余裕が無さそうになので、時を置いて改めて取り組み、温めてみたいと思う。


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【Type-012】53㎡(16坪)、再びこの取り組みの原点に立ち返る。LDKDOMAは広い空間なので、あれこれ散らかす余地はあり、このスペースがあれば、一人か二人の終の棲家は可能だろうと思う。ベッドは丸見えだけれど、これはソファだ。寝具収納があれば、来客5分前に整然と整わす事が出来るだろう。そもそも大きな空間ではなく一間、掃除は基本的に楽だ。水廻りも整然と出来ているので、洗濯物は浴室にと出来れば尚、困らない。小さな家であれば、清掃等の維持に掛ける労力が最小限で済むのがイイ。

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【Type-013】60㎡(18坪)、これはエントランスを考慮し、外観デザインを想定したプラン。寝室は変わらずBed alcoveなのだけれど四畳半とした。リビングには建具を設け、別ける事が出来る仕様だ。WIC(ウォークインクローゼット)の仕切りは低く出来るので、BR+WICは10帖弱のスペース、閉じても閉塞感は最低限、避けられる。
現時点でこれを建築するなら、建設費1500万弱で取り組む事が出来るだろうか。


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【Type-015】1F:63㎡(19坪)、2F:25㎡(8坪)、延床:88㎡(27坪)の計画を持って、この機会はとりあえず一度終える。Bed alcoveに拘ってはきたものの結局は別にし、アトリエが欲しくなってしまった。水廻りを半地下にするのはより深く掘らなければならいのでこれは標準階とし、凍結深度まで設けた基礎を利用した半地下のアトリエを設置している。屋根は傾斜し、BR(寝室)やLOFTを設ける構成の階建てとしている。

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アトリエは半地下に、BRは半階上に設けている(図面左手)。2階程違わないので一体感の連続する空間が出来るにも関わらず、視線を上下に違える事でアトリエ含め独立性を高く保つ事が出来る。清潔感を損なわずに一体的な生活空間を得る建築のスタイル。

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キッチンと水廻りは一体の壁を使う。家電も納められれば、この壁面の収納や機能性を正しく計画が出来れば、それがこの家の節度を担う事が出来る。4人家族でも耐えらるかな。具体的には、アトリエを主寝室とし、半階上の寝室とLOFTを子供スペースとすれば家族が住まえる容積が確保出来る。

スキップフロアなら、老いて階段がきつくなってもどうにか出来るだろう。車椅子が必要になるならどのみち、キッチン浴室含め水廻りは全て使えないので、床がフラットでも実は対応は出来ない。改築で対応するなら、それまではこれで良い。

あとはType-124の様に庭の向こうにガレージか塀を設ければコートハウス化も出来る。

次の機会にこのプランに再び挑戦するなら、一人住まいの最小限と決めて考えてみたい。夜な夜なに取り組む試作検討をこの度はざっくばらんに公開してみる。紆余曲折を必然として答えを急かさずにあれこれ試みた事例として。