「サピエンス全史」

天気予報によれば水曜日までは最高気温は30℃越え、以降日曜日までは29℃。何か殺意を感じる夏本番。暑いだけで疲れてしまうし、日中は仕事にならない。日曜はとうとう諦めて・・・屋上の日陰で本を読んで過ごした。本と言うか、漫画なのだけれど。

「漫画 サピエンス全史 人類の誕生編」 ユヴァル・ノア・ハラリ (著)

7万年前に人類(サピエンス)に「認知革命」があったのだそうだ。以後は「農業革命」産業革命など重要な変革が起きるのだけれど、最初の変革で人は虚構=フィクションを手に入れたらしい。例えば「神」を創造出来れば、世界中の多くの人と同じ価値観を築けるのかもしれない。そういう術を持てた生物はサピエンスだけなのだそうだ。認知革命とは理解の術の一つなのだと思う。生物種としての身体、DNAレベルでの環境への対応以上の能力の確保に繋がる。大勢のサピエンスと協力する事が出来る。不特定のサピエンスを信じて協力出来る事の凄さ、地上の他の動物には無い能力なのだそうだ。

北海道の縄文に興味を覚えて久しい。特定地域の過去2万年くらいの範囲への興味。自分の居る場所を知る、そういう意味では設計の際には参考になる。既に無く定かなものは何一つないような過去の事なのだけれど、遺物や遺構は多く残されていて、予想の余地が私にも残されている。今現在の直近だけを考え設計するよりも、もう少し丁寧に可能性を探るヒントになれるのではと思う。

北海道の縄文とは言っても、知ろうとすれば直ぐに他へ結びつく。他と比較して初めて区分出来る事は多い。日本への人の流れの一つは樺太から北海道、津軽海峡を経て本州へのルートは間違いないらしい。けれど例えば縄文時代弥生時代の扱いは北海道と本州では違う。本州のある場所の博物館では、縄文時代弥生時代の次に古墳時代?を経て直ぐに教科書に出てきそうな歴史が刻まれるだろうか。北海道には弥生時代は存在しないとされるし、1000年前にはオホーツク文化といい外国人の文化が北海道にはあったらしいし、個性的だ。などなど、知ろうとすると必ず他との関わりの中での位置づけが欲しくなる。

サピエンス全史は人の人の発生から変革、広域への展開までが漫画で描かれているので分り良く、核心をついているように見える。大きなくくりでどう生きて来たのか?を頭の片隅に蓄えておいて改めて北海道を眺めると、もう少し理解を深められるかもしれない。知識欲か好奇心かを刺激された。その一瞬の喜びは、刹那にではあるけれど「暑さ」を忘れさせてくれたかもしれない。