マンションのデザイン その⑤

分譲マンションのデザイン提案、その仕事の末に思う一案+αを案合する。その②で案合いをした■検討案③を使う。潔い巨大な垂直面を装飾ではなく、無駄を削ぎ落した最小限の要素だけでデザインを試みる、如何にも建築設計で挑む案。


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本当は白い壁面に窓を開けたいけれど、そこは少し落ち着きあるよう茶系の色味としてみる。道路側のバルコニー面は、一部に四角の開口を開けた手摺壁を設け垂直面と呼応させ、ガラス手摺部分の先端に濃いグレーでラインを添えた。生活感をデザインに還元するデザインの実践になるだろう。ディベロッパーに商品開発能力、販売能力があるのなら商品化できるかもしれない。そもそも無理って言われるかもしれないけれどね。

少ない表現の構成、ゴテゴテと装飾せずに他とは違う個性を模索する事は、分譲マンションでも可能だと思う。商品開発能力は常に問われるだろう。

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地上面では、壁を重厚な石か若しくはタイルでと考えた。この占有面積なら景観条例も何とかクリアできるだろう。この前面のヒューマンスケールの壁を備えられたなら、「その奥」が生じるので短くともアプローチが出来る。壁を潜りドアを越えたなら落ち着き在るエントランスが出来るはず。出かける時も返って来た時も、必要な婉曲を得られるに違いない。巨大な建築のヴォリュームは、人目線でも十分に変化に富み、景観を意識出来る。

f:id:N-Tanabe:20210723213851j:plainそのエントランスの風除室の提案を重厚高級路線で。
大きな道路に面する空間、その速さを室内デザインに取り組むに、ボーダータイルを選択する。採光が期待出来るので明るい壁と天井を用いつつ、対比してかつ自在に空間を覆うウォールナットの木調パネルを用いる。左手の張り出しある木部にはエントランスのテンキー操作盤を配置する。壁からの持ち出しなら重厚なのに軽快。角にぶつかっても大丈夫なように工夫は必要だな。

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エントランスホールの全景。ボーダーを活かし衝立も設けてタムロ出来る空間を確保し道路面に開く。暗がりにならぬよう、重心を低く保ちながら明るさのある空間とした。

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衝立と一体のベンチ椅子、テーブル、窓開口を利用する対面のベンチ・・・骨格はスチールでと考えたものの、これでは軽すぎるので具現するなら、また考えよっと。

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これは現実案。この案にハイライトとなる要素を組み込めば新鮮さを演じられるだろう。例えば、同色のタイルでもシボのある光を吸収する質感と釉の艶ある質感との組み合わせたなら表情が生じる。果たして、どのような建築が建つのだろうか?先ずは提案まで。