『ストーリー・オブ・マイライフ』

なかなか手が動かずに過ごす夜更け・・・ひと思いに図面に向かい思い切って線を描きだす。手を動かしてみれば、思う所を絵にしようと描き始める事が出来、何とか朝までに描くべきを終え、更に次にも取り組み、昼食を差し込みエネルギーを補充すれば別の仕事も果たせた。

一区切りの束の間の夕刻、眠さに負けてしまおうかとも思ったのだけれど、高まってしまった緊張を沈めたく、気持ちの切り替えを計る。本当は時間の在る時、余裕の在る時が望ましいのだけれど、こういう、どうしようも無い隙間に映画を観たくなってしまうのは何時もの事か。

観たのは『ストーリー・オブ・マイライフ』。何故これにしたかは偶然、古く品の良い映画に見えたので。弱い緊張を沈める時の選択は、きっともっと軽い選択になるだろう。軽すぎると間違って仕事を初めてBGMになってしまうかもしれない。強い緊張のある時は出来るだけ良作を観たい。重い作品を選ぶかは、また違う心境が必要になるのだけれど、鑑賞を終えた後でこう書き出そうと思うのだから、良かった!!に違いない。

古い映画だとばかり思っていたら、相応のメリル・ストリープが出て来た。更には久しぶりのクリス・クーパーまで。2年前の映画であった。若い女優さん達は似た人ではなく、その人たちであった。切り上げてしまおうか?一瞬悩む。けれど観進めてしまうと止める事は躊躇われ、引き込まれ目が離せなくなっていた。俯瞰すればハッピーエンドの娯楽映画に括られそうだけれど、役者さんは凄い。演じる様は登場人物の真情を強く表現し、まるでその人にしか見えない。魅せられ少なからず考えさせられたのだと思う。

観ていて、ふと脳裏に過る映画があった。エリザベス・テーラーの出ていた『若草物語』。随分昔にリバイバルで観た映画は印象に強く残る。映画の成果を全てさらうような存在感と美しさ、銀幕のスターとはこういう人の事を言うのか!と思い知る。映画そのものも他に代え難い世界が広がり心に残る。

もう一つは『ホテルニューハンプシャー』も思い出していた。何かしら影響を受けていたのだろうか。様々な個性が賑やかに集う様や、特に末っ子の在り様を観て思い出したのかもしれない。これは改めて観たい映画だ。

・・・観終えた後にタイトルを見返し合点が行った。邦題に『わたしの若草物語』とあった。なんだ、そうではないか。最後に答え合わせをした感じだ。リズの『若草物語』を観たのは本当に昔の事なのに、この映画を観て感激して思い出してしまえるくらいに完成された小説、脚本、映画だったのだろう。観た映画の印象は、そういう私自身の経験も作用し作られるのかもしれない。シアーシャ・ローナンエマ・ワトソン等人気女優さんが出ていたのに、最後にエリザベス・テーラーに思いを巡らせてしまったのは少し申し訳ない気がしてしまう。

・・・疲れ果てているはずなのだけれど興奮が高まり眠れない気がする。明日に響くので沈めるべく、映画でも観ようかな。