出合い様々

来週は雨がちで寒くなりそうな天気予報、雪降る前にと何かと焦る。午前中は天気が良かったので豊平川を散歩する。サケを実はまだ見ていない。果たして・・・
今日の豊平川をパラパラと写真で案内。

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幌平橋、通り行く人の少なからずが川を眺める。私も眺めたものの、魚影などまるでない。豊平川から南を望むと、写真では中央左に聳えるのが恵庭岳になる。あの向こうに支笏湖がある。ちなみに写真には写っていないけれど右手の藻岩山まで山々が連なる。

 

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鮭を求め、いつもの場所へ向かう。中央の魚道へ渡り歩くと、そこには先客があった。彼(彼女かもしれないが。)はおそらく、いつもここに居る「カモメ」だ。夜も居るので、先ではなく住人なのかもしれない。残念ながら私には鳥の個体を識別できない。別のカモメが入れ替わり居るのかもしれないけれど、同じにに見える。と言う事は、彼も私に何度も会っている事になる。そして彼もまた、人間を識別できないけれど、君はいつも私の住いを訪ね邪魔をする人間か?と思っているかもしれない。

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魚道を眺めるのは一時、彼の居場所をお借りする必要があった。一時、彼は居場所を貸してくれた。飛んでる姿を思いの外綺麗に撮れたよ。案外に器用に低く飛ぶ。

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少し貸すだけだよと、遠くへは行かずに直ぐそこへ降りる。降りる習慣は羽を広げて一度ふわりと浮いて速度を落とし、ゆるりと着底する。案外にダイナミックな翼の動きだった。

カモメは不思議な生き物だ。何を食べているのかがやはり想像出来ない。あの短い脚では川に立つことは無理だ。あの大きな嘴では水中の魚を追うには重すぎる。足で何かを掴もうにも水かきが付いている。大きな体と大きな嘴で他者から奪うのだろうか?障害の多い街中では体格の近いカラスには勝てそうな気がしない。

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辿り着いた魚道を眺めていたのだけれど、鮭はまったく見当たらないな。もう通り過ぎた後なのかもしれない。魚道は水流が保たれていて大きく波打つ。波の先端は水滴が飛び散っていた。

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気を取りなして、何時もは夜にカニを探す河原でふいに目が合ったのはキツネだった。彼(彼女かもしれないが)もまた、ここに住んでいるに違いない。私にはキツネの個体を識別できないので同一かは分からないのだけれど、数年前から必ず出会うのが居る。昨年の冬だったろうか、ペアで雪原を楽しそうに歩く姿を見た事がある。アトリエの近所にも時々いるのは、最近は見ないな。豊平川の対岸なのでそれは彼ではないかもしれないが。

ひょっとすると彼は、南の山から豊平川に入り込んだキツネの次世代かもしれない。住み良い場所には思われないけれど、住まえない場所でもなさそうだ。人目を避けて住まえそうな場所は豊平川にもある。とすると彼は、生粋の都会っ子の可能性が高い。人に慣れているのか?距離感が不自然な程に近い。まぁ、私を見て、この距離があれば危険はないと見切られているだけかもしれないが。彼が私を識別できるなら、またお前か!と、思っていたのかもしれない。

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目が合った時は互いに立ち止まり対峙したものの、彼はこちらに近づいてきて通り過ぎて行った。その時、目の前で立ち止まり寛ぎ始めた。写真をとるなら、どうぞ!という具合に後ろ脚で体を搔き始めた。

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何かの物音に反応して振り返る眼差しに野生を感じる・・・けれど犬だな、まるで。それにしてもこの距離で落ち着く野生とは。バカにされているのかな・・・それとも、私を識別し、時々出会うけれど悪さはしない存在とすら理解しているのだろうか。この場所でなら、場所への理解も生活力も彼の方が遥かに上だ。

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この後、彼は軽快に立ち去る。冬毛に生え変わるのはこれからなのだろうか?随分汚れて見える。それに幾分痩せて見える気がするのだけれど、逞しさも感じられた。
敢てこの距離でこまで体を曝したのは、ここは俺の場所だから立ち去れ!という意思表示だったのかな。

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帰りは中島公園を経由する。珍しく公園内にある日本庭園を散策した。

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ここには小堀遠州の八窓庵がある。特別に小さな、実に小気味よいスケール感の建築だ。たまに訪ねて体でこのスケール感を覚えておくのはやはり良い。

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北海道で状態を維持するには窓は難題だ。窓は8つもあって、同じものがない。今はガラス戸で保護されているのだけれど、それが窓に合わせてマチマチに作られている。朽ちる様で丁寧な補修痕が見受けられる。オリジナルを壊さぬ様に施す仕事は巧みだ。

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今日はこの竹垣に気が付いた。現在製作中のものだ。職人さんが仕事をされていたので、お邪魔してつい話し込んでしまい、色々と聞かせて頂いた。

 

縄で編み込んでいるのだけれど、メンテナンスは5年間隔なのだそうだ。経年劣化のみならず、カラスが巣作りでその縄を持って行ってしまうらしい。この竹垣は木杭を支柱にしている。その杭は銅板などの保護はしないらしく、耐用年数は10年程度だと言う。10年毎にデザインを変えて作り直しているとの事だった。この竹は、園芸の技能試験で使われたものを再利用しているのだそうで、小さな釘穴があちこちにあったりする。技能試験の級別に細い竹、太い竹と使い分けがあったようにで、おのおのを組み合わせて竹垣がつくられていた。雪降る前の今にというこで、休日返上で仕事だそうで、お疲れ様です。

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新設の竹垣の向こう、こちらの竹垣は2年前に作られたもの。青い竹も経年で良い風合いになる。そう聞いて眺めて見れば、来るときにも見ていたこの垣根が生き生きと見えてしまう。

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午前中は風もなく、それは綺麗だったな。