重力波

2015年9月14日に人類が初めて検出した「重力波」はブラックホール合体で生じたもの。

36M。+29M。=62M。+GW
M。:太陽質量
GW:重力波

太陽の36倍と29倍のブラックホールが合体して62倍のブラックホールが生まれ、太陽3個分のエネルギーが重力波として放出される。観測したのはアメリカの重力波観測所 ”LIGO“ 。

重力波はしばしば池に石を落として出来る「波紋」に例えられる。先の観測事例では重力波によりどの程度、時空が歪んだのか?例えると太陽と地球の距離1億5000万Kmで水素原子1個分の揺らぎに相当するらしい。この歪を検出して初めて宇宙のどこかで生じた巨大な天体現象を観測できる。

実は重力波はそこら中で起きているらしいのだけれど、観測可能な揺らぎは天体現象の中でも超巨大なものに今は限られている。具体的には、超新星爆発ブラックホール合体中性子星合体となる。たぶん、何れもとてつもなく想像を絶する大爆発になる。

日本には重力波望遠鏡KAGRAがあり、運用が始まっている。そう遠くない将来にこの施設でも観測が伝えられるのだろう。望遠鏡はアームと呼ばれる2本のパイプが直交して配置さ、各々の長さは3Km。交差部からレーザーを双方に照射し、アームエンドに設置された人工サファイヤのレンズで反射し戻って来る。同じ長さなら交差部に戻って来て互いに打ち消し合う。重力波の影響を受け時空が歪むと双方の長さが歪み、戻って来るレーザーに時差が生じる。これを検出するのが重力波望遠鏡。

世界には幾つかの施設があり連携している。KAGRAもその一施設。観測可能な重力波があれば各々で観測され、施設は位置も向きも違うので照らし合わせる事により詳細な解析が出来るらしい。

言葉で説明すると難解そうだけれど、考え方はとても簡単に見える。どれほど凄い施設なのかと思えば、先日観たテレビではそのアーム部分は案外にあっけない円筒であった。何かの工場みたい。ただし中は真空で、設置されるサファイヤのレンズは-253℃に冷やされ、レーザーの照射部分は検知設備含め技術の粋に違いない。だがしかし・・・数キロの施設で観測できる歪みは「誤差」でしかないような。ノイズとの果てなき戦いに違いない。

たまに、宇宙に目を向けるとあまりに未知故に、ちょっと心が晴れる。


超新星爆発:最近良く見えるオリオン座の中の一つの星がいつ爆発してもおかしくないと聞いた気がする。太陽は軽い恒星で燃え尽きると「白色矮星」となる。確か、太陽の8倍の質量のある恒星は太陽に比べ短命で一気に燃え尽くすような勢い。最後は大爆発を起こす。オリオン座のその星が爆発すれば昼間でも見えるらしい。

ブラックホール合体:ブラックホールは昨年だったか、写真が公開された。そもそも大きな質量故に光をも捕えてしまう天体で真暗だ。太陽系のあるこの銀河系の中心には巨大なブラックホールがあるらしい。見えないので観測が難しく、周囲の光の状況から、ここに居るのかな?と観測するのかもしれない。言葉の響きからも謎めいた存在ながら、実存を可視化する前に重力波望遠鏡は「合体」した事を知らせてしまった。存在するかどうかではなく、すっ飛ばして合体すると。何とも飛んだ話だ。

中性子星合体:太陽より大きな恒星が燃え尽きて爆発し重力に圧し潰され残った天体の事らしい。非常に小さな天体にも関わらず巨大な質量を持っているという。これが合体する。確か、ブラックホールは勢いよく衝突するのに対して、中性子星は回転しながら合体するらしい。重力波の波形に相違があるらしく、観測された波形と照らし判別が出来るのだそうだ。

※たまに書いておかないと忘れてしまう。