ボレロを聴く。

近所でありながら稀にしか訪ねない音楽専用ホールのキタラ、しばらく前にチェックしてボレロを見つける。幸運にも仕事に「スキ」が生じた今日は、当日券で行く。

札幌交響楽団は4月に新しい指揮者を迎えたらしい。若々しく、凛々しく、良く踊る指揮者だった。飛ぶし、元気だし、しかも誠実そう。そのプログラムは・・・ ・


ラヴェル
「マ・メール・ロウ」組曲
 Ⅰ 眠りの森の美女のバヴァーヌ
 Ⅱ おやゆび小僧
 Ⅲ パゴダの女王レドロネット
 Ⅳ 美女と野獣の対話
 Ⅴ 妖精の園

プロコフィエフ
 交響的物語「ピーターの狼」

R.シュトラウス
ホルン協奏曲第1番
 Ⅰ アレグロ
 Ⅱ アンダンテ
 Ⅲ アレグロ

ラヴェル
ボレロRavel/Bolero)


マ・メール・ロウはバレーが始まりそうな賑やかさで、物語の感じられる楽しい組曲だった、気がする。

プロコフィエフとは何だろう?ソプラノ歌手のナレーション付きの音楽紙芝居?アヒルは狼に一飲みにされてしまい、思わず息をのむ。

ホルン協奏曲はクロアチア出身のラドヴァン・ヴィラトコヴィッチさんが登場する。2000人入る大ホールに響き渡る多彩なホルンの音が気持ち良く隅々にまで広がる。ライブの楽しさは、それが管楽器なら体で感じられる。来て良かったと心から思う。実にカッコ良く、これは何も知らずとも惚れる。

そして最後は念願のボレロボレロは昔から何故か好きで、以前にも書いた気がする。中央図書館の資料貸出しで集めた音源は10程だろうか。聴き比べるとどれも違う。さて、何が聴けるのだろう?

ボレロのライブは想像通り楽しい。パフォーマンスを考えてステージのようで、静かに始まり聞き耳を立てると、同じフレーズをあれが吹いた、次は右隣、さらに右隣・・・と楽器を替えながらソロで奏でられ繰り返され、ステージ右の低音の弦楽器は常に弾き、左の弦楽器は間を開けて弾き、徐々に音量は増して行く。

自室で聞く時は最初に音量を上げたくなるのだけれど、後半は下げたくなるくるらいに音量が違う。これがオーケストラでは実にドラマチックで、終盤はハチャメチャな程に大きな音がホールに響き渡る中で一気に終わる。指揮者は指揮棒を振り切っていた。もしも私がこの中に参加できるなら?選ぶ楽器は指揮棒だ。

音楽ホールで聞くクラシックとは、実は演奏を終えた後の『無音』が醍醐味なのかもしれない。今日は満席ではなかったもののそこそこに人は入っていて、演奏の最後は音が壁か天井、床か人に吸い取られて魔法の様に一瞬で消え去る。そこに「無音の空間」が生まれる。その後は拍手がホールを包む。ボレロでは間髪置かずに拍手が巻き起こっていた。間を開けたく無いと思える程に盛り上がる曲だった。

また、どこかでボレロを聴きたいな。キタラではどの程度の頻度で聴けるのだろう?見るボレロは堪らなく楽しい。ホルンと言い、頭の中が洗われた思いがする。すっかり気持ち良い。