対馬からの来訪者

今日来られた建築資材メーカーの若い営業の方は、「え?」と聞き直す珍しい名であった。北海道だからではあるのだけれど、「先祖代々北海道です。」と言う人は居ないので出身をお尋ねするのは楽しい。数世代遡るだけで全国各地へ至る。

その方は「対馬」出身らしい。親元を離れ遠くへ行きたいと願い、北海道へ進学したのだとか。場所柄、九州や近畿地方へは人は流れる様子だ。親御さんは寂しいだろうな。ただ、千歳⇒福岡⇒対馬と言う具合に、朝出ると夕方には辿り着けるらしい。

私が札幌から故郷の道東へ帰る際に飛行機は使わない。飛行場へ、飛行場からが面倒でもある。しかし車で向かえば朝出れば夕方に着くので、実は所要時間にあまり変わりがない。仙台に仕事で通っていた頃、日帰りが出来た。寧ろ函館出張の方が遠く感じもした。距離感はあるけれど、なかなか不思議。

九州は2度行った事がある、程度。正直、関西より西は地理も不確かだ。地域の関係性などまるで想像も出来ない。

対馬果たしてどんな場所なのだろう?とGoogleの地図を開く。30分も眺めると何となく知った気分になる。


どちらかと言えば韓国に近い様だ。忽然と日本海に浮かぶ。何時までも「舞い上がらず」の朝ドラ、母親の出身が五島島?近しい環境なのだろうか。


ざっと、縦100km、横10kmの細長い大きな島のようだ。ブラタモリ対馬回があったらしい。観たかった。火山は無いのでプレート運動で隆起した島なのだろうか。リアス式海岸と呼んでよいのか、実に入り組んだ海岸線が興味深い。起伏に飛んだ地形で短いけれど川は多数ある。水には困ら無さそうだ。


フェリー航路の先が「対馬市」になる。九州を向いた場所にターミナルがある。対馬市は河川が洗った場所なのかストリートヴューを眺めると国道は平坦に見えた。対馬で最も広い平坦な場所に市が築かれたのかもしれない。飛行場は相当に削り取ったようには見える。


博物館があったり、さまざまが整う対馬市。東西の山に囲まれた谷間の平坦な場所、南と北に広がる。


対馬市中心市街は、ココだろうか。河川なのか運河なのかが街中にあり、並走して国道もある。自転車で一日走れば、割と隅々まで探索が出来そうな規模に見える。南北方向は平坦ながら東西のUP-DOWNは激しそうだ。孤島と言うには大きく、スーパーもある。コンビニは取り合えず、あるな。普通に住まえそうに見える。


興味深いのは対馬の中央にある入江だ。その入江の中央には「島山島」がある。上から読んでも下から読んでも・・・
造山自体はそれなりに古いのだろうけれど、間氷期の今は海が進み、この具合で落ち着いているのだろうか。日本海へは西側に入口があり、その内側は島もあればリアス式海岸で埋まっている。これは、魅力的。入江の中がここまで充実しているとは。波も立たない静寂の風景があちらこちらにあるに違いない。

ダムで堰き止められ出来た人造湖、例えば朱鞠内湖はリアス式と呼んで良いのだろうか。洞爺湖屈斜路湖の様なカルデラ湖は噴火故の深い窪地に水が溜まって出来た湖だ。湖畔は綺麗な円弧になる。対して人造湖は風雪や水で作られた山谷に水が溜まるので入り組んだ形態になる。

直近で言えば1万5千年前までは氷河期だったので海抜は何十メートルも低い位置で作られた地形があったはず。8千年前は今よりも温暖だったので海抜は数メートルも高かったらしいので、数千年の間に波に洗われた場所が今は堅実に残っているのかもしれない。

つまり、氷河期に造られた地形に海が入り込んだのがリアス式海岸なのだろうか?と想像してみた。

ともかく、何とも魅惑的な海が広がっている。


島山島を眺める。素晴らしい!

ここで子供時代を過ごすなら?

友達のだれかは漁業関係者か何か、小舟くらいはありそう。この湾の中なら支笏湖でカヌーを漕ぎだすよりも穏やかそうに見える。例えば北海道の噴火湾は太平洋のはずだけれど穏やかで、その中でも有珠の入江は海とは思われない程に鏡面にような海がある。子供でも容易に安全に船で漕ぎ出せるはずだ!

アーサー・ランサムの「ツバメ号とアマゾン号」を地で行く冒険が出来るな。エビカニ魚に貝は獲れるだろうから食材はあるし、おそらくは温暖、嵐を避ければ夏休みは友達とキャンプに・・・が出来そう。夏休みには数組の縦割りになるのかな?兄弟や友人を引き連れて海に漕ぎ出し、アチコチの入江や島でキャンプをして過ごせる上に、競争したり旗を取り合ったり・・・時々は親が様子見に訪ねてきたり?

僅かな時間ながら眺めて過ごし、ちょっと興奮してしまった。

今日来られた営業の人、子供の頃は何して遊んだのだろう?早く次に来ないかな。呼び出せる仕事を探さなくては。あれこれ尋ねたくなってしまう。