雅楽

日曜日は「雅楽」の演奏会にお誘い頂き訪ねたのは札幌は中島公園にある音楽ホールのキタラ。歩いて10分の近所なのにそう訪ねず、けれど訪ねる時は何時も楽しい。この日は特に音の良い小ホールでの演奏会、生の音を楽しむのにこれほど素敵な場所はない。ただ・・・雅楽?正直、全く知識がない。実際、難解で一体何時叩くのか?弾くのか?あの空白の間合いが堪らなかった。

4拍4セットで一巡するフレーズが続く。4拍×4セットの16拍には耐え難く長い間もある。「鞨鼓(かっこ)」という鼓が全体を仕切るベースに該当し、「太鼓(たいこ)」は右打は弱く、左が強く(・・・逆かもしれない。)で大きな音を作り、「鉦鼓(しょうこ)」という唯一の金属打楽器が短く早く高い振動を伝える。これがリズム隊になる。

 

それに弾物として「筝(そう)」・・・これは御琴みたい。「琵琶(びわ)」がある。リズム隊の奏でる音に合わせ添える音色が膨らみを持たせ印象を明快にする。琵琶、カッコ良く切れの良い音だった。

吹物は主旋律を担う「篳篥(ひちりき)」、天と地を行き交う龍の声という「竜笛(りゅうてき)」、それに如何にも和の音を出す「笙(しょう)」がメロディーを担う。笙はパイプオルガンと同じ方式らしく、聴けばなるほどと思う。背景にずっと音が流れて場の雰囲気を作っていた。雅楽らしさは笙が担うのかな?篳篥はとても小さな楽器だけれど音は非常に良く通り、トランペットの様だった。竜笛は横笛、音は上へ下へと成る程、龍の如くであった。

ロックの様に縦に乗せず、ジャズの様に横に揺らすことはない。和か東洋のオーケストラとなる雅楽は、音の実験場の様相で、実に慎ましく厳選した音がリズムを担っている。太鼓と金属楽器の鉦鼓の組み合わせは面白かった。太鼓は張った皮を打つので、振動が最も大きく像を結ぶにはやや時間猶予がある。対して鉦鼓は金属なので打てば直ぐに高周波の音を出す。同時に打つ事もあるのだけれど、痺れるのは鉦鼓が太鼓に遅れて打つ時。太鼓の音が像を結ぶ時に金属が添えられる。振動が像を結ぶのに合わせる具合が実に魅力的で、見ていても聞いていても痺れた。来るぞ来るぞと間を持ってその時に、合うのかズレるのか。自分が鉦鼓を担うなら、毎回自分のリズム感を試されるかのようで恐ろしい。狂えば途端に場が壊れ、鞨鼓の作ったリズムを壊してしまいそう。

夜更けに思いつきを記す記事、見知らぬ雅楽ではあるけれど、案外に書けるな。やはりライブは面白い。

 

〇〇〇〇 〇〇〇〇 〇〇〇〇 〇〇〇〇 が、例えば一つのフレーズになる。
◎◎〇〇 ◎〇◎〇 〇◎〇〇 ◎〇〇〇 これは印象だけれど、この具合に打つ。
◎◎〇☆ ◎◎〇☆ ◎◎〇☆ ◎◎〇☆ こんな具合ならわかり易いのだけれど。
☆☆〇◎ ☆〇◎〇 ☆◎〇〇 〇◎〇〇 というイメージであったり、
☆◎〇◎ 〇◎〇〇 〇☆◎〇 ☆〇〇〇 の様な変則に切り替わった気もする。

これを指揮者もなく、鞨鼓の律する中で10数名の奏者が調和を見出す。何かルールか秩序はあり、それが恐らくはとても単純なものに違いなく、乗せる事なく聞かせてしまい、結果、おそらく気付かずに聞けば子守唄の如く自然と目を閉じ寝てしまえると思う。この日は興味を確かめたく面白くて聞き入ってしまったのだけれど、次は眠れるか試してもみたいと不謹慎ながら正直に感じました。