【DOMA/yamanote】の「ドマ」

【DOMA/yamanote】には「ドマ」がある。「ドマ」はそもそも、冬でも室内に「外」を感じられる場所を室内に取り込もうと考えた末の答えだった。そのスペースを活かせないかと考える。ドマを南側に設けたなら大きな窓開口を備える。窓の断熱性能は外壁に比べるとトリプルサッシでも桁違いに低く、冷え込み始める夕刻から夜間、朝までは明らかにコールドドラフトを生じる。リビングに掃き出しの大きな窓を設けたなら、とても寛ぐ事など不可能な寒さを経験出来る。ちなみに夏なら陽射しが痛い程に熱くなる。

ドマは居住空間ではないので、そこで寛ぐ事はない。ココに暖房を敷設すれば大きな窓の暖房負荷に耐える事が出来る。しかも、大きな窓を設けて外を室内に取り込む事も出来る。

DOMA/yamanote】はクライアント自らセルフ塗装をされた塀に囲まれる「コートハウス」でもあり、室内からはプライバシーを確保した中庭に開けている。夜でもカーテンかロールスクリーン無しでもOKだ。先の記事のネコは、よって夜でも降る雪に興味をそそられてしまう。

モルタル金ゴテ仕上、土や水、時に雪を家の中に持ち込んでも問題はない。むしろ、室内ながらも「外」と認識させたいし、認識して宜しい。リビングから寛ぎ眺めたなら、自分自身も一瞬、外?と思う。断熱区画の断熱サッシが室内を規定するのではなく、空間質が室内を規定出来れば、外までが円滑に繋がり、より強く広がる住まう空間を手にする事が出来る。

f:id:N-Tanabe:20101029092822j:plain
竣工時のインテリア。これは自分で撮った、お気に入りの竣工写真。

f:id:N-Tanabe:20101029161443j:plain
これも好きな写真だ。ドマがあり、リビングがあり、吹き抜けもある。キッチンや階段や、階段奥の綺麗な洗面所・・・室内を区切らずに「距離」で認識区分を達成した多様な生活空間をオープンにして整然と出来た。実際に訪ねても洗面所までを認識するのは相当な時間を要する。

f:id:N-Tanabe:20101030092255j:plain
こんな具合の「ドマ」、まるで「外」なのは、野良?猫がここには入ってくれた事実からも知れる。野生の感が「ここは大丈夫」と判断出来た場所。

f:id:N-Tanabe:20101030092256j:plain
西日差し込む頃の光景。構造を現し、珪藻土で仕上げた壁に無垢の木床の室内に対して「ドマ」がより質感のあるモルタル金ゴテ仕上。素材感のあるクールながらも味わいのあるテクスチャー。

 

f:id:N-Tanabe:20101029181527j:plain
吹き抜け眼下に「ドマ」空間を眺める。奥行きは深く、先を見越せない。

f:id:N-Tanabe:20101029110335j:plain
吹き抜けから「ドマ」を昼間に俯瞰する。猫でなくとも、寧ろ佇みたい。

断熱区画は北海道の家では欠かせない。揺るげば、惜しみなく燃料を費やす以外に「寒さ」に負けてしまう。肯定的に「外」を取り込めないか?現実には想像を超える。このドマで雪遊び!とは、現実は小説より奇なり。

「家の中で雪遊びしてます。」なんて知らされでもしたら、木床が!など思うだろうに、そうですか!と悩まずに応えられてしまう場所。