都市規模で考えた、あるプロジェクト その⑤

その②で製作した都市の3Dモデルに、
その④で製作したヴォリュームモデルを
配置し、定点で観測してみる。
それが、その③のアニメになる。

一つ一つを眺めて見る。

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黄色の枠で囲まれた範囲が敷地になる。
この規模になると実地で全景を把握するのは難しい。
立体のモデルが在れば客観視が出来る。

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2棟の高層棟を設けると、こう見える。
建物と空地の対比が強過ぎるように見える。
空地が寒々しく見えそうな気配を感じる。
手前は低層棟、住まうにも仕事場としても、
狭間で居心地良さそうな雰囲気に乏しい。
何より広い空地、ここでは駐車場が痛々しい。


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その④にてウネウネとした建築を考えた。
基本的に複雑な建築になるので高価だ。
おそらく現実味は乏しい。
ただ、住まうにせよ仕事場に使うにせよ、
四角四面の矩形に閉じ込められるよりも、
変化は楽しそうに見える。

計画の際、一度はこういうプランに挑む。
綺麗に区画された地域で矩形の敷地の場合、
ウネウネすることすら困難になるけれど、
何が最も効果的に変化を生み出せるかは探る。
可能性ある線を見つけたなら、洗練を試みる。
規模や構造、コストに算段を見いだせるなら、
一案として成果を得るに違いない。

多くは無理や無駄を隠せないのだけれど、
敷地の可能性を様々に検討する事がなるので、
こういう無茶な取り組みには価値がある。
その上で最初の高層2棟案に至るなら良し。

ここでは、時間の在る時に可能性を探って
みたいと思う。都市の立体モデルがあるし、
ある程度敷地の理解もあるので、
シミュレーションする甲斐がありそうだ。


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周辺に対して『差異』をどう生み出そうか?
その差異に『価値』を付与出来ないだろうか?
『魅力』を見いだせるなら、住みたい!とか、
そこで働きたい!や過ごしたい!と思えるかも。

都市とは言っても空地の多い場合は空虚さが漂う。
密度の薄さ、希薄さ、隙間等は否定的要素になる。
そういう地域性での環境において、建築行為が
何かを解決できないか?

線路を潜るアンダーパスのある大きな通り沿いは、
アプローチ路にするには悩ましいものの、
割と広い道路である事から全景が最も見える。
故にこのアングルで定点から確認をしている。

大きな敷地で密度が平均的高い状態を考えた。


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大きな通りに面し低層部を設ける案は良さそう。
暫定として、敷地を8×8で16分割し、
各々高さを想定しシミュレーションを試みる。
※構造規模については具体的ではない。

升目を切ると、一気に大きさ感が生じる。
ヴォリュームを検討し、次いでスケール感を与え、
もう少し具体的に検証をする。


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個々の升にバルコニー等を想定して
凸凹を与えてみる。よりスケール感が生じる。


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ここまで作ると、もう少し作ろうと思い立ち、
割と丁寧にバルコニーを想定してみた。
低層棟はテナントかオフィスだろうか。
3層なら丁度良い大きさで通りに面するはずだ。


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低層棟の開口が少し気持ち悪かったので、
更に整理をしてみた。


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人を置いてみる。
低層棟、店舗やオフィスなら通りに面して良く、
住戸の場合はバルコニーとして屋外を取り込みたい。
高層で威圧的とせず、低層で馴染み良い大きさ高さ、
人が見えるスケールなら賑わいを創出する事も出来る。

高層住居棟と組み合わせて一体的に計画が出来るなら、
検討すべき一案に出来るだろうと思う。

街中に住まう、使う空間を考えると、そもそも眺望を
求めるのは難しい。良好な環境を作るには、この敷地の
様に一体的に考える事が出来るなら選択肢は多い。

建物だけを眺めて良し悪しを計るのは間違いを生じる。
もう少し大きな視点で眺めるなら、違う選択肢もある。
街並みに呼応しつつ、外に開き、外から守り、
内にどう開放し、閉じるかを想定した上で
各住戸や店舗等を計画出来るなら、より丁寧な
設計が可能になるはずだ。



←今回です。その① 『思わず都市を作る』
その② 『都市3Dモデル!』
その③ 『設計過程』GIFアニメ
その④ 『計画エスキース』
その⑤ 『エスキース過程』  ←今回です。
その⑥ 『計画案モデル俯瞰』
その⑦ 『計画案の案内』