香炉


先日、江別の埋蔵文化財センターで出会ったこの『香炉型土器』が妙に脳裏に残る。いったい何に使ったのか?香炉?と台座の組み合わせのようだ。炉の部分は浅く煮炊きには使えそうにない。しかも、そこそこに大きい。テーブルの上に置けば、土鍋ほどは占有しないけれど存在感は抜群だ。木製ではなく土製なので火が使われたには違いない。左右と上に円形の口があり、縁は刻まれてギザギザだ。室内が囲炉裏の明るさなら、このギザギザが怪しく陰影を見せたに違いない。上から水を差し、この器から白い油煙でも立ち昇ろうものなら、さぞ神秘的だろうな。



出土したのは忍路のストーンサークルとの事だった。小樽から余市へ向うフルーツ街道沿いにある。この道沿いには西崎山、地鎮山と3つのストーンサークルがある。3500年前程の人の仕事が今も見る事が出来る。2000年程前の壁画も近所のフゴッペ洞窟で観る事が出来る。ちなみに並んでいる石は200kg~500kgだろうか、どうやって持ってきたのだろう?

香炉型土器は小樽の何処かに収蔵されているそうだけれど常設されているのかわからない。余市は水産博物館があり、ニシン景気の頃のあれこれが展示されていて、煮炊きした巨大な鍋は一度は見ておきたい。施設の奥には縄文以前の展示もあり、中では「徳利型土器」が素晴らしい。どう考えても寒い夜に熱燗を頂いていたとしか思われない。

白滝まで黒曜石を採りに行ける人達なので知識は広かったに違いない。熊を相手にするにしても使っただろう「毒」は植物所以だろう。精神文化の育った時期ともされる頃、シャーマンが登場するなら幻覚作用のある植物を焚いたのかもしれない。ハーブはそこらの雑草に多いらしいし・・・毎日食後の寝る前に、この炉でアロマを楽しんでいたのかもしれない。

香炉型土器は実に文化的で極めて魅惑的、想像しはじめると止まらなくなる。