リノベーション

既存建築の改修を「リフォーム」とか「リノベーション」等と耳にする。ニュアンスには違いがあるものの明快な区分はなさそう。大義にはリノベーションだろうか。

これまで設計してきた建築を考えると、改修の大きな目安は30年~40年が節目になると考えている。水廻りの更新のみならず、屋根や外壁の更新も考えられる。最も肝心なのは性能改修になるだろう。

具体的には断熱性能、これは年々製品性能は向上し、時代の要求は高くなる。例えば外壁の断熱材は、当初はグラスウール100mm厚が標準であった。今後は200mm厚が標準になるかもしれない。厚さが倍になっても性能は倍にはならないのだけれど、外気の影響をより受け難くなるので効果は絶大だろう。加えてサッシの更新も性能向上において極めて有効だ。

 

性能や製品の更新は既存の置き換えでも良いけれど、その機会に生活スタイルのリニューアルも計画するなら、より豊かな生活を作れるのではないかと思う。


先に取り組んだ【M邸】住宅の改修はリノベーションに違いない。家族の生活スタイルの変化に応じた建築の更新、楽しかった。

【 Bookshelf 】【 DOMA/道南(South Hokkaido) 】【 MoAi in ny 】は建て替えの設計で新築ではあるけれど、敷地にはそれまで住まわれた住宅があり、新たな要望に応じて設計をしている。『敷地をどう使うか?』という意味ではリノベーションになる。

設計の際は『建築』だけを考えるのでなく、『敷地』を考えるのが良いと思う。その上で時代の求める性能を付与し、より豊かな生活を創造する。既存の建築が叶うものなら、最小限の操作で何が出来るかを探したい。