『葉』を観察する。

■葉① カツラ

カツラは丸い形状が特徴だ。受照面を効率的に広くするなら円形は理想に違いないのだけれど、形状を支える構造はやや悩ましい。葉脈は中央に1本、左右に3対の計7本の構成が基本の様だ。背骨となる太い葉脈はなく細い葉脈のみで構成させる都合もあり、葉はあまり大きく出来ない上にやや肉厚でもある。生成養分の伝達では右往左往しそうな気配がある。


■葉② カエデ

これもカエデの類に違いないのだけれど、葉端にギザギザはなく分かれた葉先毎に太い葉脈を設けつつも出来るだけ広く確保した葉を保持するために肉厚だ。葉の接する部分は二次葉脈が混乱して亀の甲羅のような形状になっている。構造上は安定しても養分伝達では右往左往しそう。葉の肉厚では葉先端は保持出来ない様子、凹み部分も弱そう。何かちょっと無理をした印象の重そうな葉。


■葉③ モミジ

本当にコレが意図なく求めた正解だったのか?疑いたくなる程に美しい。コレだけは誰かがデザインしていても不思議がない。人には無理だろうけれど。

7つに割き分かれた各々に太い葉脈があり構造となっている。後は細い葉脈のみで、葉の接する広い面も混乱なく接続されている。葉端はギザギザの突起があり、これは強度を補うに違いない。葉は先端まで綺麗に伸びている。薄く軽量で機能性も十分で適度に広い面積を持つのにデザインも優れている。


■葉④

何の木かはわからないが、絵に描いたような葉だ。背骨となる先端まで伸びる太い葉脈と葉端へ向かう二次葉脈で綺麗に構成されている。葉の絵を描いたなら、多くの人が描きそうな。


■葉⑤ ナナカマド


細長い葉は一本の太い葉脈が背骨となり、二次葉脈はそこから短く葉端へ伸びる。構造上も栄養伝達上も負担面積は少なく済み細い。葉の輪郭のギザギザ突起と二次葉脈は呼応せず、臨機のようだ。ギザギザ形状は強度を補い形態保持に役立つのだろう。葉は極めて薄く軽い。折り畳むとコンパクトで済むので葉群を可能にしたに違いない。


■葉⑥ イチョウ

落葉針葉樹という珍しいイチョウの葉はお馴染みだけれど、後発の広葉樹のような多様な部位はなく、「針」のような構成部材のみで葉も作られている。梁を横に束ね扇状に開いただけと、極めてシンプル。ただ、葉の根本部分はやや太い針状になっている。

扇先端が円弧ではなく波打ち、山折り谷折り葉の面も波打っている。これも雨風をやり過ごすと共に形状を安定させる構造になっているのかもしれない。エッジに影が出来る程に肉厚でもある。


■葉⑦ タンポポ


番外編は、巨大な蟻に蹂躙されるタンポポ
植物界の最新デザインであるタンポポは「小花」という花が無数に集まり、まるで一つの花を装っている。見えているループは小花の「めしべ」らしい。蟻がこれ程まで無心でタンポポに夢中になるとは、体中が花粉だらけ。

花弁とループのめしべで構成する遊具があったら、つまり「蟻のスケール」でタンポポを這いまわり花粉だらけになってみたい。



と言う具合に中島公園へ行き『葉』を観察した。実に面白かった。