【Bookshelf】その④ 『外観』

本当は先日の『焚火会』後に抱いた印象を熱く記そうと思ったのだけれど、どうしても夜の落ち着いた時間にお酒を飲みながら熱く語り勝ちなブログ、感情的過ぎるなーと反省している内に随分と時間が経ってしまった。それでも、今記して置かなければ忘れてしまいそうなので、改めて感じた事を書いておきたい。

本当は人の在る写真を載せたいけれど、仮にも公の場になるのでそれは避けます。直接にお会いする場合は、その時の模様をお見せしよう。

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これは建築後数年経ってからの秋の頃の外観写真。どうしてあの住宅街にこうも唯一の空間を持てたのだろう?と思う。

敷地はとても面白い。角地の奥にあり、接道は短いのだけれど奥へ広がる敷地となっていた。その分、周囲の敷地区分に比べやや広い。その広がりをどう使うか?ゾーニングには大いに悩んだ経緯がある。

ここは元々お住まいの住宅があり、建て替えになる。一般的な建て替えなら「新しい」事がメリットで、そうそうにこの敷地を使い切る提案は難しかった様子だ。思い入れ深い嘗ての住いを取り壊しての新築は、私自身も覚悟がいる。全てを一新するのが最善でもなく、敷地には思い入れを残しつつ更新するのが最善になると考えた。より難しい方を選択する。

この住宅は『ドマ』がある。そのドマは一直線に南側に設け長さは18mになる。奥行きは短く、細長い建築を敷地の北側に配置している。そのゾーニング計画で意図したのは広い庭を確保する事だった。

北側を実は特に重要に考えたのは「採光」のため、落ち着いた居住スペースを配置している。通風を確保しつつ、常に健やかな「光」を得ている。対して南側に設けたドマ、開口は写真のように、とても大きい。リビング前は幅5.4mもあり、しかもドマの吹き抜けに合わせ天井までの2連になっている。絵的には映えるだろうけれど、現実には冬でも昼間は暑い上に夜は極めて寒い。どれほど高性能な窓を用いても壁に比べると断熱性能は桁違いに低い。夏なら、ともかく暑い。イヤ、熱い。それがリビングなら安易にカーテンで塞いでしまうに違いない。しかし、それでは折角の庭を見通す事が出来なくなってしまう。痛し痒しが実は世の多くの住宅の常になっているだろう。南側に大きな窓を設けたくなるのは、何か使命があるかの如く。

・・・内観写真は次に載せるとして、お楽しみに。

先ずは、その配置構成故にメリットを語る。
つまり、北側に程長い建築を配置する事で広い庭を確保している。長い建築は室内の何処へも陽差しが在るにも拘らず、ドマを経由する事で直接ではなく柔らかく落ち着かせる事が出来ている。この広い庭に面する建築は、ドマの吹き抜けが一階より高く、二階建てよりも低く、その長さ故に重心は低く落ち着きを持って建っている。

庭先で、例えば先日の焚火会などの写真を撮れば、その広がりが気持ち良い。そして何より、『スケール感が良い』。これに尽きる。庭を生活の一部にするには、そこに人が立った時に建築が呼応する必要がある。断面に気遣いなく大きくしてしまった一般的な建築では、内外共に空間は宿らない。絶壁のように立ちはだかる壁面として建築が聳えてしまう。そういう光景を目にするのは珍しくない。珍しくはないので、それが普通と考える事もできるけれど、考えるなら、適切な空間を求める事が出来る。

焚火会の写真は、証明にもなるので載せたいけれど・・・プライバシーがあるので載せない。実際がどうか?これは案内をする機会があればと思います。百聞一見にしかず。

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夜空には遅い時間に既にオリオン座が輝いてる。直に、こういう光景になるだろう。