ミニバイクレースで。( 追記 )

知人が走っているので、年に一度くらいは観戦に行くだろうか?南幌にあるカートレース場でのミニバイクレース。クラスは3つ、①スクーター②SP③オープンとなっている。

のスクーターは、本当にスクーターで誰でも参加が出来る敷居の低いクラス。一昔前の規制が緩い頃の古いスクーターが有利なのだそうだ。どう考えても遅いのだけれど、それ故に一切を無駄にせず、ブレーキを最小限にスピードを保つ操作技術が求められ、マシンが拮抗している事もあり最後まで接戦で実は面白い。

は50ccの所謂ポケバイを使う。改造は排気系のエグゾーストを交換する程度の範囲だそうでマシンの性能は拮抗し、敷居は割と低く出走台数も多い。50cc?と侮ることなかれ、カートレース場を走らせるのならトンでもなく速い。エンジン性能をフルに使い切れるコースでありレースは大いに盛り上がっていた。

は改造無制限のクラス、エンジンはレース用?知人のマシンは80ccだった。公道を走る一般車両とはまるで違い、耐久性や常用性を考慮しない生粋のレーシングマシンと言える。今では珍しい2ストロークのエンジンの高回転で回る甲高い音は魅力的で、レースマシン特有のオイルを完全に燃焼させて発するガスの清々しい匂いは、一度知ると癖になるはず。

写真は何枚も撮ったものの、今回の一番のお気に入りを貼った。クネクネとスラロームした後に深いコーナーに飛び込む直前を捉えた。ピントは・・・カメラ任せだ。随分以前はピントを置いての流し撮り高等テクニックを駆使したものの、それでも、カメラ任せだとしても、流し撮りできているので宜しい。


裏のストレートは最長区間、コーナーを抜けると一気に加速するわけだけれど、オープンクラスのマシンは極めて速い。かつてのロードレース125ccクラスを思わせる。とんでもなく軽く小さな車体を80ccものエンジンの最大トルクで加速させ最大パワーで最高速に・・・至るまでの距離はないものの、そこらのスポーツカーでは見る事の出来ない機敏さ俊敏さで眼前を走り去る一瞬をカメラに収める。それはそれで、とても楽しい。

残念なのは、年に一度程度な機会で数年空けてしまう事もあるので毎回、どうやったら撮れるのだろう?と困惑から始まる。豊平川の花火と同じく、経験を思い出しコツをつかみ始めた頃にレースは終わってしまうのであった。

足腰を固め両腕でしっかりとカメラを構えつつ軸をブラさずに回転させて流し撮る。先ずは柔軟体操をしてから挑まなくてはならない体育会系の撮影となる。普段は慎重に撮る時は三脚を構えてリモコンで撮るので体力は・・・中腰に耐えるくらいなのに。


「空間を移動する速さ」は観る世界を一新させる発見がある。実際に空間を体験する際は静止画ではなく動的に捉える事で僅かに異なる視点から認識を作る。常識を覆す速度を体験するのは興味深く、これは時々にでも体感しておいて損がない。流し撮れると対象は止まって見えるのに背景は流れてしまい、その加減が実に面白い。人が空間を体感する時は静態ではなく動態であり、流れ過ぎ去るものを脳が像を結ぶ。高速で移動する宇宙船の中で進む時間と、それを観測する外で流れる時間に差を生じるような追体験が出来るのか、と思えてしまった。



色々なライダーにバイクがあった。知人のバイクは隅々まで綺麗で、タンクの窪みの僅かな汚れは予選の後のもの。例えば自分の車や自転車・・・せめて綺麗にしておこうと思う。



スラローム区間は眺めていても面白い。バイクはまだ旋回中なのだけれどライダーは次のコーナーを見ている。その際の挙動は2輪ならではのもので、速度とバランス、次への動作が現れている。



最高速の出るバックストレート手前のコーナーへアプローチするマシン。

シャッターだけは400枚程も切ったみたいだ。でも、ピントのあった写真は10枚に満たない。雰囲気が好みな写真を入れても確率は1/25程度かな・・・



【 追記 】
知人のマシンは隅々までが綺麗に磨かれていた。着いた汚れは当日のもの、それは磨かれたタンクでも明らか。整備を考えると、走行後に油染み一つを見逃さぬためにも綺麗にしておく必要がある。汚れたままなら不具合を発見するのも難しく、間違えばレース当日に発覚する事も多々なのだそうだ。そんな危ういマシンと並び、或いは後ろを走れるだろうか?怪しげなマシンなら近寄らないに限る。

しばしば公道で、何をどう信じて車間距離を狭めてくるのだろう?という車に出会う。見ず知らずの貴方が私の何に信頼を置いているだろう?と。キッチリ整備されたマシン同士なら互いに互いを知るに十分で、けれど公道では不可能だ。何をしでかすか、何が起きるか不安の人や車なら絶対に近寄らないよ。

知人はその規範であるためにも綺麗さを心掛けているらしい。流石のスタイル故の、フォームが最も美しいライダーでした。