中秋のカニ。


光を当てると驚いて「静物」を演じ、隙を見せると「逃走」し、捕まると「威嚇する」、『モクズガニ』を中秋の月を楽しんだ豊平川で出会う。月は、雲っていたけれど。

落差工(高低差のある堰)を遡上しようと登っている途中の無防備に、私に見つかってしまったカニ、それが夜も街明かりで待ち構えているカモメでなくて良かったね!写真を撮られたりして迷惑をお掛けしたけれどさ。

甲羅は50mmくらい?2歳ほどのカニかもしれない。故郷は石狩川河口なので、ここまで直線距離でも30km以上、右往左往しながらなら50km近くを歩いて来たのかもしれない。おそらくはこの近辺であと2,3年を過ごし、再び長旅をして秋遅くに河口に向かうのだろう。また、会うかもしれない。


実に良く出来た完璧な造形だ。手足を丸めると極めて小さな塊になれるのに、伸ばして展開すると手の平に納まらない程に大きい。モクズらしく挟みの根本には毛が生えていて、甲羅には独特の模様が施され、その文様は嘗ての北海道に住んでいた人が想を得たデザインの一つなのかもしれないと思えた。



手持ちのライトで撮ったわけだけれど、当てる場所を間違えると、豊平川の夜更けに悪魔が降り立ったのか!!という程に怖い影を残す。最初にこの影に出会っていれば、流石の私も逃げ出すかもしれない。

遡上途中で摘まみだして突然に被写体にさせてしまい、ゴメンね!