中島公園の横を流れる『豊平川』は夜でも明るい。住み着いているカモメは鳥目だろうに夜も飛んでいたりする。訪ねたのは雨上がりの夜更け、水は濁っているのに光を得て輝く。
川を散策すると頻度良く『蟹の足』に出会う。
遡上するのをカモメに狙われたのだろうか。恐らく最末端の足、その大きさから3歳か4歳のモクズガニのものだろう。食べられちゃったのだろうな。
この難関を潜り抜けられる慎重派か幸運派のみが成長し、夏に石狩川の河口へ、産卵のために生き残れる。そんな生命の挑戦的な営みが実は、そこの川に在る。
この夏に河口を目指すだろう巨大なモクズガニの巣を確認した。何とか撮りたいと、今宵も持ち出したカメラは何時もの広角レンズではなくマクロレンズを付けた。大きな蟹は慎重派らしく、ライトで照らすと直ぐに隠れ、その後しばらく出てこない。今後一ヶ月くらいは駆引きかな。獲らないので撮らせて欲しい。
堰を遡上する一群を眺める。おそらく『ハゼ?』。私が来たので、カモメに狙われずに済んだはず。
今宵のもう一つの出会いはエビだ。これは「スジエビ」なのかな?
小さなエビにも流水は反応し波紋を作る。流されそうだけれどエビは平然と真っすぐに歩く。頭の先の尖った角はヘラ状なので、低く構えるとF1マシンのフロントウイングのようにダウンフォースを得るのかもしれない。水面下の地面にピタリと張り付いて安定して歩くし、堰も登る。
良く見ると腹部には「卵」が!初夏に産卵し、冬を迎える前には子は十分に育つのだろうか。
単独で遡上に挑むハゼ?類。腹に吸盤があるのだろうか、流水に耐え留まりつつ、体力回復と流水状況を読み一歩一歩と登る逞しさ、見習いたい。
実際のところ、家でヌクヌクと過ごす自分には、エビカニハゼにカモメ達の生活は挑戦的で過酷に見える。勿論、人の営みも過酷に違いないのだけれど、その上で彼等の目を眺めると・・・厳しさの前に諦めた風ではなく、割と楽しんでいる様に見えてしまう。黒目と白目の造作も無いのに何だか語りだせるくらいに目の表情は豊だ。