『スポーツ交流拠点基本構想』・・・札幌ドーム周囲の開発にあれこれ思う。

月寒体育館(屋内スケートリンク)とアリーナ(体育館)が札幌ドームの敷地内に計画されていると数日前に報道があったので少し調べてみた。

2004年:札幌市都市計画マスタープラン
2016年:第2次札幌市都市計画マスタープラン

作製は「札幌市まちづくり政策局都市計画部都市計画課」。2004年案の副タイトルは持続可能な『コンパクト・シティへ』であり、人口減少の予測や社会状況の変化に応じて2次案が制作されている。

マスタープランは重要で、現在の新札幌の再開発もこれに端を発しているはず。

この中で札幌ドーム周辺地域はスポーツと集客交流の拠点性を高めるための高次機能交流拠点に位置付けられ『スポーツ交流拠点基本構想』とされている。

プロ・バスケットボールのホームである「きたえーる」は施設基準を満たしてはいないのでアリーナ(体育館)の新築が必要であり、更に老築化のために月寒体育館(アイスリンク)は建替えが必要というのが今回の報道の具体案となっているようだ。


アリーナ施設は市内で不足しているのだろうか?きたえーるで十分に担えているのなら新築は持て余しかねない。例えば市がお金を出してバスケットの要求基準を満たす改修を行い、道が管理する事は不可能なのだろうか?道と市の垣根を越えて取り組めるなら新築コストの1/10か1/100なのか、より安価に済むに違いない。

本当は札幌ドーム建設時に、その時にスポーツ文化の拠点とするマスタープランを描けなかったのだろうか?先にも記したのだけれど、札幌ドーム、きたえーる、アイスアリーナ、カーリング場等が一ヵ所に集まる拠点が実現出来ていれば、北海道のではなく日本を代表する文化発信が出来たに違いない。

ここに野球やサッカー、バスケットボールにフットサルやカーリングのプロ、アマ等のアスリートに、中体連、高体連の学生達が集う街が築かれていたならと、当然の様に地下鉄も延長は不可避だっただろうし、つい夢見てしまう。

エスコンフィールドのようなエンターテイメントに徹した商業的な成功を探る選択肢もあれば、対して「地域」に根差した文化を担う社会的な施設にもやはり魅力を覚える。

作られるプランは既存施設をどう活用するか?というリノベーションであり、既にお荷物かもしれない札幌ドームを肯定出来るかが問われる。ドームを失うような事になればに、二度とワールドカップクラスの競技や万人単位のライブが可能な場所を失ってしまう。


大学の私が属した研究室は「(建築)計画」で階段を挟んで隣に「都市計画」研究室があった。割と近い存在で講義でも学ぶのだけれど、スケールはまるで違い、基本は類似してもスキルはまで違う。決まった敷地の中ならアレコレを考えられるのだけれど、趣味で夜な夜なさらりと描いてみようかと地図を眺めてみたものの、取り組むのも難しい。

過去のオリンピックの時はどのような気運があり開発は勢いを得たのだろうか?その結果どう変化したのか、オリンピック前後の真駒内等を調べてみたくなった。


※本日は美香保の体育館の移転の報道があった。オリンピックの遺産は老築化は待ったなし、その意味でもオリンピックを契機にしたい旨はあったのだと思う。あっちもこっちもお金が掛かるし、札幌市は慌てているのかもしれない。そういう時にこそ将来を見据えた計画が欠かせない。

何も描けていないのに、それらしくまとめる程度のコンサル頼みの実務では無く、ビジョンを提案できるならと思えてしまうのは設計に携わる身だからだろうか。勇気を持って「像」を必要とする時もあるはずだ。