【 エスコンフィールドへ 】 その⑧ ドームと比較する。

二つのドームを住宅に置き換え比較してみた。フィールド=リビングと考えるなら分かり易いかもしれない。


【札幌ドーム】モデル



札幌ドームのリビングは出入りが厳格で隣り合う部屋はなく、極めて独立性が高い。動線は交差せず回遊もしない。用のない人は出入りしない部屋になる。

リビングでテレビを観て寛いでいる横を騒々しく子供達が行き交う、ような事は起きない。ニセコで設計した住宅はこれに近い。大きな住宅で各室の独立性は高く、大勢の来客が想定されるリビングなら、このような節度ある空間が望ましい。



エスコンフィールド】モデル


エスコンフィールドはオープンな一体的な空間が特徴になる。リビングはホール(廊下)と一体的で、このホールは玄関やダイニングを内包している。

リビングでテレビを観ている横を子供が騒々しく塾から帰ってきて賑やかに食事を始める、事もある。このプラン構成は設計で実際に良く使う事もあり、親近感を覚える。但し一歩間違うと混乱してしまうので、設計では「楽しさ」をどう創るかが要であり慎重な作業が欠かせない。


野球場の場合は特化できるのでエスコンフィールドのようなプランは十分に現実的だ。これをサッカー場としては機能しない。ヨーロッパの試合を眺めると客席でビールすら飲んでない気がする。華麗な得点シーンでは興奮のあまりビールや食べ物が飛び交ってしまうだろうし。

野球にサッカー、ラグビーのみならずコンサートなど様々な催しが可能な札幌ドームが独立性の高い空間を用意したのは正しい。高価な建築でもあり節度は十分に保たれていると思う。

公私様々な来客を丁寧にお迎えするリビングでは寛ぎを優先、このケースでは札幌ドーム的なプランが有効だろう。縦横に回遊できる賑やかな住まいを求めるならエスコンフィールド的なプランが相応しいかもしれない。

と言う事で、超巨大建築を小規模住宅に置き換えて比較してみた。二つのドームの違いを住宅に置き換えて想像が出来れば、建築の理解に繋がるかもしれない。

 


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