光明寺設計物語【2017.04.15~05.12】エスキース

お彼岸、永代法要と基本となるだろうお寺の日常を
観察させて頂き、本堂の扱いにも方針を見出し、
敷地周辺への調査も進め、町の歴史にも目を向け、
考える上で必要な情報がそろいつつあった。
計画当初とは比較にならない情報量を得ていた。

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エスキースは継続をしていて、いつもあれこれ考えていた。
お寺の顔となる国道側正面は、敷地の接道距離は短い。
大きな伝統的な本堂を持たないお寺となる計画では、
何をどう見せるか悩ましい。仮に大きく存在ある建築を
試みても、敷地の国道側は狭く限られている上に、
近隣には巨大な商業施設が多く、適わない。小さく見えて
しまうだろうなー

逆に、小さく見せようと思い立つ。住宅一軒よりも小さく。
出来れば、周囲には見当たらないスケール感覚の存在を。
住まう使うには狭く、平屋でも2階建てでもない大きさで。

敷地を見通せる交差点、実は約10度の角度がある。
音更の川筋に沿う国道は曲がり、区画線とは傾きがあり、
交差点へは鋭角となる敷地は、鋭くパースを効く。
傾きが逆なら広がりあるように見えるだろう。

建物に傾きを持たせるだけで、何事も無く不思議な、
或いは印象的な光景を見せる事が出来るかもしれない。

実際、交差点は直行しているように人は見えてしまう。
頭が、脳がそう補正してしまう。けれど揃っていない
状態や歪んだものを感じる力も皆が等しく持って居て、
上手く使えるなら印象的なものに出来る可能性がある。

もっとも、これを使うデザインは一筋縄では行かない。
むしろ、とっても困難で難解にはなるのだけれど。

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予算と規模を検証しつつ、諸室の最小限度を意識しつつ、
より具体的に各室の関係を整え、建築全体を眺めつつ。

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敷地北側(図面上)の敷地の凸部を除いて一本の線を引く。
これは背骨となり、後の計画へ生きてくる線に成った。

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諸室の関係とは動線の計画に繋がる。敷地のどこにどう
在るのは自然か、それがどう結びつくのが無理がないか、
などと言う事も意識しつつ。

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ただ、行き詰って少し無謀に取り組みも試みる。

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敷地を見ている上に、やはり3つ角を失ったオセロ状態の
敷地には苦労をする。うねる線は多く相当に煮詰まる。

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ただ、重ねるエスキースの先に、何かに修練しそうな勢いも
出始めた感じがする。

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屋根形状も考え始める。大きな薄く軽い屋根をイメージ。

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約一月の変遷、その最後はスケールを上げ、手描きで
一枚の図面にしていた。