光明寺設計物語【2017.05.13】総代会にて進捗を報告する。

春、総代会に出席し経過の報告をする。
既に何度かお寺は訪ね、見知った方も在る。
永代法要ではズカズカと遠慮なく歩き回っていたし。
方針を示すのに図面説明で足るとは思われなかった。

計画を進めるにあたり、先のエスキースの様に、
町並みにどう参加するか?も考えている以上最早、
立体で検証する必要があり、敷地模型を作っていた。
ここにヴォリューム模型を作り置き、眺める。
写真は鳥瞰、鳥の目線。これだと全体が見える。
けれど、人目線はとても低く、模型では眺められる。
模型は実態、3Dパースよりも明らかに理解が出来る。
確信を得るまで、検証作業は続く。

当日はこの模型を持ち込み、説明をさせて頂いた。

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既存本堂をどう処すかの提案、判断を頂く機会でもあり、
それに、作りたくもあった既存建築・・・難解だった。
図面はなく、航空写真と現地写真とスケッチ図面を元に、
模型を作る。複雑な屋根形状は増改築を幾多も経て至る
事を痛感させられる。
隣地建築物も調査時写真から立体にし模型にしている。
かなり正確なシミュレーションが出来るクオリティーだ!

小さな模型だけれど、既存建築はぜひお見せしたかった。
これまでエスキースしてきた案もヴォリューム模型にした。
主なものだけ、ここに載せてみる。

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視点を合わせて次々と・・・先ずは現況を。鳥瞰なら見える
ものの目線では隠れてしまう。

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当初に計画したS造の案。まとまりはあるものの、
懸念の通り敷地にポツンと立う上に変化に乏しい。
素直ではあるものの、敷地や町並みとの一体感に欠ける。

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大きな壁を一枚建てる。これは実は魅力的ではある。
本体は壁の向こうにあり、交差点からは壁しか見えない。
奇をてらう案になるけれど、実際、迫力があるはず。

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エスキースで試してように円弧とした大きな壁のプラン。
鋭角になる敷地、交差点からは引き込まれるように見えるはず。
模型ではそれが確認出来る。直線壁案との比較は実に面白い。

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一層の事、何も見えず奥まる所に巨大なヴォリュームをと
考えてもみた。人通りは少ない国道、車目線ではこういう
大きな捕らえ方の方が印象に残るだろう事が理解できる。

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エスキース終盤に描いた案を模型にする。
変哲のない佇まいに見えるけれど、敷地周辺とは呼応し、
変わったものではなくも見えるのに、妙に印象に残る。

お寺、伝統的な本堂のある姿は今では常套ではないらしい。
実際、街中ではビルにもなるし、構造はRC造もS造もある。
敷地に導き入れる工夫、人が建築の前に立つときに疎外感を
与えず、威圧せず、子供が遊びまわるのが似合う程に小さな
スケール感を得たいとも思うし、驚かすようにではなく、
極自然にこれまでも在って、これからも在るような光景を
得られないかな?と考えた。無理なく自然な様を求めて。

ここまでが総代会で案内したもの、最後の模型案を方針として
その後、計画を進める事になった。
敷地模型ではその後、更に幾つもの模型を試している。
撮影していないものも未だあって、それは今後、掲載したい。


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ある日の夕刻、西日が差し込む頃に綺麗に見えた。

その際の一枚を。上から見ると巨大だ。けれど、

人目線では薄い屋根が映え、威圧的でなく、人を
驚かせる事もない。けれど印象に残る。
角度のある交差点を更にパースを効かせるような
角度ある建築、国道からは妙な大きさに見えるし、
何とも、何がなんだか誤魔化されるような具合で、
でも、上からみると簡単な建築に見える。