春、総代会に出席し経過の報告をする。
既に何度かお寺は訪ね、見知った方も在る。
永代法要ではズカズカと遠慮なく歩き回っていたし。
方針を示すのに図面説明で足るとは思われなかった。
計画を進めるにあたり、先のエスキースの様に、
町並みにどう参加するか?も考えている以上最早、
立体で検証する必要があり、敷地模型を作っていた。
ここにヴォリューム模型を作り置き、眺める。
写真は鳥瞰、鳥の目線。これだと全体が見える。
けれど、人目線はとても低く、模型では眺められる。
模型は実態、3Dパースよりも明らかに理解が出来る。
確信を得るまで、検証作業は続く。
当日はこの模型を持ち込み、説明をさせて頂いた。
既存本堂をどう処すかの提案、判断を頂く機会でもあり、
それに、作りたくもあった既存建築・・・難解だった。
図面はなく、航空写真と現地写真とスケッチ図面を元に、
模型を作る。複雑な屋根形状は増改築を幾多も経て至る
事を痛感させられる。
隣地建築物も調査時写真から立体にし模型にしている。
かなり正確なシミュレーションが出来るクオリティーだ!
小さな模型だけれど、既存建築はぜひお見せしたかった。
これまでエスキースしてきた案もヴォリューム模型にした。
主なものだけ、ここに載せてみる。
視点を合わせて次々と・・・先ずは現況を。鳥瞰なら見える
ものの目線では隠れてしまう。
当初に計画したS造の案。まとまりはあるものの、
懸念の通り敷地にポツンと立う上に変化に乏しい。
素直ではあるものの、敷地や町並みとの一体感に欠ける。
大きな壁を一枚建てる。これは実は魅力的ではある。
本体は壁の向こうにあり、交差点からは壁しか見えない。
奇をてらう案になるけれど、実際、迫力があるはず。
エスキースで試してように円弧とした大きな壁のプラン。
鋭角になる敷地、交差点からは引き込まれるように見えるはず。
模型ではそれが確認出来る。直線壁案との比較は実に面白い。
一層の事、何も見えず奥まる所に巨大なヴォリュームをと
考えてもみた。人通りは少ない国道、車目線ではこういう
大きな捕らえ方の方が印象に残るだろう事が理解できる。
エスキース終盤に描いた案を模型にする。
変哲のない佇まいに見えるけれど、敷地周辺とは呼応し、
変わったものではなくも見えるのに、妙に印象に残る。
お寺、伝統的な本堂のある姿は今では常套ではないらしい。
実際、街中ではビルにもなるし、構造はRC造もS造もある。
敷地に導き入れる工夫、人が建築の前に立つときに疎外感を
与えず、威圧せず、子供が遊びまわるのが似合う程に小さな
スケール感を得たいとも思うし、驚かすようにではなく、
極自然にこれまでも在って、これからも在るような光景を
得られないかな?と考えた。無理なく自然な様を求めて。
ここまでが総代会で案内したもの、最後の模型案を方針として
その後、計画を進める事になった。
敷地模型ではその後、更に幾つもの模型を試している。
撮影していないものも未だあって、それは今後、掲載したい。
ある日の夕刻、西日が差し込む頃に綺麗に見えた。
その際の一枚を。上から見ると巨大だ。けれど、
人目線では薄い屋根が映え、威圧的でなく、人を
驚かせる事もない。けれど印象に残る。
角度のある交差点を更にパースを効かせるような
角度ある建築、国道からは妙な大きさに見えるし、
何とも、何がなんだか誤魔化されるような具合で、
でも、上からみると簡単な建築に見える。