【 project v-IF 】計画③ 断面検討

ヴォリュームの検証では『断面』を想定する。これが生み出す『空間』、そのデザインとなる。間違えば空間を生み出さない空虚な建築に成り果てる。『計画』は想定はあっても詳細はなく、世の中の住宅の多くはプランに徹するのが通常ではあるものの、ここで『何を創るのか?』を正しく求める必要がある。この検討、エスキースの過程でコンセプトが作られる。『どのような住宅を設計するのか?』、何一つの答えのない状況から生み出す苦悩、しばらく続く。

見た事のあるプランや形態にはしない。その敷地に相応しい『生活スタイル』の創造こそが計画の本筋だ。この提案はクライアントの求める姿なら。



勾配屋根を傾斜に沿い傾けて得た、屋根下の空間。南傾斜屋根の手前側を切って眺める断面、奥は背の高い空間となる。ヴォリュームはあるのに、この断面では緩やかで実に敷地馴染みが良い。このヴォリューム感で動線も作られている。

とても大きな建築規模、これを贅沢に使う空間。



主たる空間となる、リビング・ダイニング・キッチン、加えて和室はアトリエ兼用とし、この空間となる。スキップする各々の空間、背は高い室内となるのだけれど、勾配屋根を活かしている事も加え、人を阻害するような空虚さはなく、ヒューマンスケールの空間を探せそうだ。故の手応えありの計画案。

暫定の窓開口、採光においては更なる工夫が必要だ。『採光』による『光の空間』は私の設計では最大の命題だ。これは、今後の私の楽しみだ。最難関となる大問題であり、これを解決出来てはじめ良い建築を求める事が出来る。続きが出来るよう懸命に取り組む。



絵を描くのが趣味だというクライアント、ギャラリーを考えた。敷地の傾斜に沿い2段の階段で徐々にスキップしつつ、廊下でありつつ余裕ある広さ、高さある空間は『北側高窓採光』とする。ハイサイドライトで作る空間は絵画鑑賞に置いて最善の空間だ。実設計では最難関となる『コスト』との格闘はあるものの、今は18m程の長いギャラリーを設えた。この空間を作るためのプランとも言える。

ギャリーからは各々寝室へ接続し、寝室は少し低く設えた窓開口があり、座るか寝るかすると眺望を得る仕組みだ。ギャラリーと個室の境界壁上部にも開口を設けたい。個室が灯れば自ずとギャラリーも夜は灯る具合に。

先ずは、検討に値する計画案を提示できそうだ。