設計の過程を眺めた。

一つの事例として、この設計のエスキースからモデリングまでの過程を眺めてみた。



傾斜地なので、酷く面倒な作業なのだけれど地形コンタを描く。敷地内の高低差は4m以上、20cm毎に等高線を引く。先ずは敷地への理解。

ついで、私は手を動かす。どう空間を切り取って内部にしようか?敷地をどう使おうか?何枚も試みたなかで、行けそうだな!という絵が出来た。接道との関係、除雪のし易さ、落雪の具合、建築の伸びる方向、傾斜地の影響(間違うととんでもなく高価な基礎になってしまう。)、眺望の方向・・・


可能性を覚えた一案について、CADで寸法を充てる。木造の構造を考慮しつつ、平面的な検討と同時に断面は3種を検討する。屋根は一枚ながら、少し手の込んだ操作を加えている。どうやら、出来そう。



立体での検討をしたく、一気に壁を配してプランを具体的にする。


そこから、一気に集中してモデリングを果たす。モデリングは緊張の時間で、各所に至らぬ部分も生じるので解決しつつ、手を止めずに作業をする。実施設計後に製作する予想パースは細部が決まっているので時間を掛けて作るとして、計画段階ではヴォリュームの確認が主となる3Dモデルなので、出来るだけ時間を掛けずに、頭の中で組み立てたヴォリュームと実際のヴォリュームが合致させられる可能性があるのかを検証する。

スケッチの段階、平面検討時に良さそうと思う計画案も、ヴォリュームを眺めると「あれ?」と言う事は多々ある。スケール感が致命的に整わない時は絶望的で、3Dで検討を進めるものの、出来るか出来ないかの判断は早い。拘るべき案と無理な案の判断は常に行う。


要になるのは最初のステップであるエスキース。スケッチを繰り返すのだけれど、これが何時までも終われない時もある。敷地を上手く使えるプランを出来るだけ多く手にしてたい。高価だけれど理想的なものもあれば、コストバランスに優れたもの、無難なもの、建設は容易で確実なもの等々、各々に個性がある。そこから、最も相応しい案を選ぶ事になる。

と、一案の一例を。


■通常の設計では。
ココに至るまで、どれ程の時間を要するか?は、なかなか約束が出来ない。住まわれ方、使い方等で迷う場合は丁寧に描いたスケッチ等で何度か打合せをお願いする事もある。誤解や先入観を除き、要望に応える為に。その上で、最初の提案までは1ヶ月を目安にしています。

提案した一案に、容易に辿り着けた場合はその後に時間を掛け検証をする。大抵はエスキースに時間を要する。「要望」、「予算」、「敷地」への理解は丁寧に行い、提案する時には私の手の内にしておきたい。

最初に提案する際は、多くの場合は『模型』を作ります。3Dパースはあくまでも設計検討用で、やはり、模型の方が分かり易い。パース提案は勢い、綺麗に作りたくなってしまうのに対して、模型は小さいだけで実際の空間を観察して頂けるので。