この住宅は好きだった。

ふと、探し物をしていて、それはPCの中なのだけれど期せずして出会った以前の住宅に出会う。後に試したパースが出て来たので、掲載する。

一度モデリングした3Dデータは、試みに使う事もある。今のレンダリングソフトを使う際に試した際のパースだ。


隣地建物は少し誇張し背の高いヴォリューム表現としている。極めて難しい設計に、おそらくは自ら挑んだのけれど、その甲斐はあったと思う。変形台形の敷地を「どう使うか?」設計の醍醐味があった。

緩く条件を使うなら別の案が出たに違いない。クライアントが幾つも迷い選ばれた敷地を前にして、思い切って、最も敷地の中で『良い場所』を眺めて暮らす!ことを考えた。

良い場所に建築が陣取ると、良好な『外』の確保が難しい条件であった。隣の家を眺めて過ごすのは躊躇われるし、大きく窓を開けてそれが公衆に曝されては落ち着く事は出来ないし、悩んだ末の挑戦となった。


眺めるのは庭、COURT。通りからは一段高く、低い塀を設けたなら完全にプライべートな外部を手に入れる事が出来る。実際には既存の樹木もあるので確実に。古い町並みの中で、これは敷地を広く使える方法だった。その為に建築本体は窮屈に押し込む必要があり、これが難題となったものの、その甲斐もあった。

一緒に出てきたのは水廻りのプラン。よほど印象に強いのか残していた。ここには4案がスケッチされている。採用案はまた別だ。何かしらを期待できない狭いスペースの水廻りと駐車スペースを確保しようと試みている。水廻りの面積は小さくはないものの、歪な形の中に機能性を探る。一長一短はあって、クライアントと大いに悩んだ記憶は強く残る。最終的にはキッチンを含めコンパクトな動線に整理が出来たと思う。かなり使い易い水廻りの空間を得たと思う。見せる場所と隠す場所も整理が出来た。


このプランの原型となったスケッチだったはず。実際にはもう少しゆとりを得て現実的な解答に至るのだけれど、初めのプランは極めてスレンダーに描ぃ、何を楽しみ、どう過ごすかを記していた。

こういうスケッチに再会する時は心引き締まる。ココに住まうなら?私は楽しいと素直に思えるまで考え抜いた証でもあるので。

LIVING3とした右後方の張り出し、このヴォリュームで中庭(COURT)を完全に外界から切り離してプライベートに導いている。洗面、洗濯、浴室等の水廻りを入れ替える案はあるかもしれない。水廻りにLIVING3としたアウトドアか自転車整備スペースを持ってくる方が理に適うとも思われるけれど、中庭に直接アプローチが出来る必要がこの家にはあった。

時々、あれこれ思う。