【 間取り・・・プランを科学する。】 設計考察 ⑦ 【DOMA/yamanote】

【DOMA/yamanote】は「きらりと光る建築賞」を受賞した。
極普通の住宅として、或いは普遍的応用力のあるプランに
挑戦した住宅だ。

設計当時は御夫婦お二人の住まい。将来は子供が望まれ、
親との同居も視野に入れた設計が求められた。正直、
厳しい設計だった。要望を整理するには『ホール中心型』で
多数の個室が必要になるもので、予算を遥かにオーバーする
規模が想定された。それでは、そもそも実現の見込みが無い。
単価を下げて建売住宅並みにすれば或いは可能だったのかも
しれないけれど、それでは私が設計する意味もない。
質は求め、将来の可能性に応えるプランの創出、難解だった。
この住宅で本当に時間が掛かったのは減額調整だった。
苦心の末に、クライアント、施工者と設計の私が団結し、
成果を得られたのだと思う。

今は昨年誕生のお嬢様があり、賑やかな様が印象的です。

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竣工時のある朝早くの外観。

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室内、一階に在るリビング・ダイニング・キッチン全景。

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図版で示すと、1階はこのようになる。

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2階はこのような具合。

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1階はむしろ、こういう風でもある。2階建て2室の住宅。
オープンな2間の空間を、2階は家具により間仕切る事で
育種かの個室スペースを生み出している。
特別な事がなければ、この規模で幾重にも派生が出来る。
部屋数ばかりを求めるプランに比べ、遥かにコンパクトで、
終の棲家と至る時期でも不足が無い規模で設計をしている。

特に一般的な住宅を想定しているものの、先に案内した
居間若しくはホールを中心とする形式とは掛け離れていて、
ドマが要となる空間構成の、特別な家に出来上がっている。

・・・考えるの止めて壁を建て、扉を設けて仕切り行けば、
一般的な3LDKや4LDKの住宅で、後は規模を大きくして
坪単価を下げて質を落とせば達成が出来る。

けれど、それでは問題を将来に先送りするのみならず、
何より楽しくない住宅になってしまう。今年9年目を
迎える住宅は家族も増え次の想定ステップに至るものの、
遊びに行けば楽しい。合理的や効率的、経済的に
都合の良い設計なら楽だったろうけれど、それは退屈だ。
時を経ても「楽しい」と思える事、これは揺ぎ無く
大切な住宅建築の資質に違いない。

そして、そう実践されているオーナーに感謝です。