【DOMA/yamanote】は「きらりと光る建築賞」を受賞した。
極普通の住宅として、或いは普遍的応用力のあるプランに
挑戦した住宅だ。
設計当時は御夫婦お二人の住まい。将来は子供が望まれ、
親との同居も視野に入れた設計が求められた。正直、
厳しい設計だった。要望を整理するには『ホール中心型』で
多数の個室が必要になるもので、予算を遥かにオーバーする
規模が想定された。それでは、そもそも実現の見込みが無い。
単価を下げて建売住宅並みにすれば或いは可能だったのかも
しれないけれど、それでは私が設計する意味もない。
質は求め、将来の可能性に応えるプランの創出、難解だった。
この住宅で本当に時間が掛かったのは減額調整だった。
苦心の末に、クライアント、施工者と設計の私が団結し、
成果を得られたのだと思う。
今は昨年誕生のお嬢様があり、賑やかな様が印象的です。
竣工時のある朝早くの外観。
室内、一階に在るリビング・ダイニング・キッチン全景。
図版で示すと、1階はこのようになる。
2階はこのような具合。
1階はむしろ、こういう風でもある。2階建て2室の住宅。
オープンな2間の空間を、2階は家具により間仕切る事で
育種かの個室スペースを生み出している。
特別な事がなければ、この規模で幾重にも派生が出来る。
部屋数ばかりを求めるプランに比べ、遥かにコンパクトで、
終の棲家と至る時期でも不足が無い規模で設計をしている。
特に一般的な住宅を想定しているものの、先に案内した
居間若しくはホールを中心とする形式とは掛け離れていて、
ドマが要となる空間構成の、特別な家に出来上がっている。
・・・考えるの止めて壁を建て、扉を設けて仕切り行けば、
一般的な3LDKや4LDKの住宅で、後は規模を大きくして
坪単価を下げて質を落とせば達成が出来る。
けれど、それでは問題を将来に先送りするのみならず、
何より楽しくない住宅になってしまう。今年9年目を
迎える住宅は家族も増え次の想定ステップに至るものの、
遊びに行けば楽しい。合理的や効率的、経済的に
都合の良い設計なら楽だったろうけれど、それは退屈だ。
時を経ても「楽しい」と思える事、これは揺ぎ無く
大切な住宅建築の資質に違いない。
そして、そう実践されているオーナーに感謝です。