【 間取り・・・プランを科学する。】 設計考察 ①

間取り・・・プランは科学出来る。と、思う。
実は、どうプランするかのマニュアルは無い。
多くは、妙見真似、経験、感に頼るのかも。

設計する人によって、方法は様々になると思う。
その方法は個人的なもので方法論は明記出来ない。
それほどに人の生活は様々で正解がないと言う事。
「正解」となるプランはこの世に存在していない。

科学するとは、ここでは、昆虫を分類したり、
考古学で区分分類するのに似た方法で考察を
深める事が出来る事を指す。

これを覚えても、設計が出来るわけではない。
けれど、理解を深める事が出来る。そこから
学ぶ事が出来、バランスの良いプランを製作
するのに役立てられると思う。
ただ、これは私の方法論。普遍ではないかも。

母校の教授に、これを統計立て研究をしている
先生が在った。だから何?というくらいに
退屈な授業だったのだけれど、自分には響いた。
社会に出て、実際に設計を通じ、自分なりに
整理を繰り返している。
自分の設計を客観視出来るツールに育っている。

と言う事、少し書いてみたいと思い立つ。
温めると書けなくなると思うので。
では、一般的な住宅を考えて見る・・・

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一般にはこのような部屋構成となるだろう。
リビング(LIVING・DINING)や個室(BED・ROOM)、
玄関(ENT)、ホール(HALL)、UTや浴室(BATH)、
WCなどが基本的な要望諸室になる。部屋数は様々。
これらを一括りにして『住宅』となる。

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問題となるのは『動線』だ。家の中で各室がバラバラに
在ると言う事はなく、動線が各室を結びつけて始めて
プランが出来上がる。

これは『居間中心型』のプラン。かつての北海道では
多くみられた形式で、屯田兵舎も同じ構成となる。
暖房のある居間を中心に、その暖の恩恵を受ける様に、
各部屋が取り付いている。

本当はここに、各室の『性質』を問う必要がある。
居間の様に家族皆が集う『パブリック』な性質のもの、
各個人が使う個室の様な『プライベート』な性質、
また、その中間的な『セミ・パブリック』等が在る。

『居間中心型』は温かな雰囲気がある。仲良い家族なら、
この形式は捨て難い。ただ、パブリック的性格の居間と、
プライベートな個室が隣接し、公私の区分が出来ない。
婉曲的に接する方が良い部屋もある。そこには工夫が
欠かせない。扉一つで丸見えの寝室は落ち着かないし。

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これは『ホール中心型』のプランだ。ホールを大きく
すれば個室は幾つも増やす事が出来る。
プランの自由度は高く、便利なプラン形式と言える。
気密・断熱性能を高く出来る今は北海道でも一般的な
プランになっている。プラン製作にはそんな技術的な
開発と併走する側面がある。至らぬ性能でこの形式なら、
全てが寒く、暖かくすれば燃費性能が極端に劣るだろう。

これで規模と東西南北毎に基本を作っておけば、
ハウスメーカーの営業マンでも編集だけで営業が出来る。



昆虫は、顎や足の突起の違いや、羽の文様などの細部を
比較して分類する、らしい。間違い探しの如く丁寧に。
考古、好きな石器も割り方や加工方法、形状から様々に
区分され、それで用途や製作時期を割り出す事が出来る。

プランには、そこまで明瞭な分類方法はない。もしも
それが出来れば図鑑が作れる事になる。そんな図鑑が
存在しない事実を見ても、プランは難解なのだと分かる。

ここで掲載した3枚の図版は私の理解の方法を示したもの。
基本になる住宅のプランの原型だ。