人の居る事が似合う空間、抜群のプロポーション。

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抜群のプロポーション・・・だと思う。【DOMA/道南の家】の写真です。曇り空で写真は映えなかったのだけれど、RAW現像をしてみると案外に良い写真を得る事が出来た、嬉しい。

軒の低い所は2.5m程で手の届く範囲にある。悩みに悩みぬいて苦労して得たスケール感のある空間は、プロポーションがいい。デッキに展開する椅子テーブルが大きく見えるし、閉じていてもパラソルが映える。『人の居るのが似合う建築』その庭の風景。

世の一般的な建築は工業規格に依り設計、施工される。平屋でも屋根は手の届かぬ高さで壁面は人の背丈の倍程になるだろう。家に比べると人は小さく感じられ、風景は寒々しくなる事が多い。ここは、人が居ると楽しそうに見える。昨年竣工したお寺、実は屋根の最も低い高さはこの住宅と同じ。住宅規模を遥かに超える建築でも適切なスケール感で設計に取り組めばプロポーションの良い空間を創る事が出来る。人の居る事が似合う空間、得難いのだけれど取り組む価値あるものだ。


DOMA/道南の家】は終の棲家、今後住人が増える事はなく、またクライアントは長くここに住まわれ場所を熟知されていた。要望を洗練させる事が出来る設計では、先日に記事の例で例えるとモデルさん並のプロポーションが可能だった。

到達出来たけれど、再現性はない。スケール感覚のある空間は、住まう人、場所、要望や予算など多くの要因を考慮して求める。この世に二つとない建築だ。自分自身、この写真を発見して改めて眺めると、凄いなーと思う。広角レンズで撮っているので尚の事、薄い建築に見える。