空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その①

音更で設計した光明寺、その敷地には特徴があった。一般的には利用されない特徴に違いないけれど、この設計では上手く利用する事である効果を引き出している。

ギリシャの柱はエンタシスと言い、中央にむくりをつけ視覚的に中央が細く見えないよう配慮している。そういう視覚、感覚上の効果を使い、「境内」を創っている。

設計時には図面や模型を使い解説したものの、図解出来ないかな?と思い立つ。上手く出来るかな?では、解説を始めてみよう。



縦の道は帯広から続く国道、前後には巨大な商業施設が立ち並ぶ。敷地は国道と枝道とに接道する変形地。この交差点、「直交」しているように見える。でも、違和感を覚える。

人の脳は水平垂直、直交する幾何学的な空間認識をする。歪んだもの、微妙な角度は近似して合理的に捉える傾向がある(らしい)。整理整頓をする、というのは乱れた状況を良しとはしない性質故に。衛生的であるなど生物的な傾向ではないだろうか。

ただ、僅かな変化には気が付けるのも事実。



実は、直交していると思われた道は、このように角度がついていた。敷地は交差点に対して鋭角に付き出す形状になっている。建築は国道から雁行して中央に厚みを持たせ、屋根は斜めの稜線を描く。こうして眺めると「境内」は扇形になっている事がわかるだろうか?

最初の絵と比較すれば、かなり違う事がわかると思う。つまり、人は道路を「直交」していると考え「境内」は長方形の空間と考えてしまう。実際、近隣の建築はどれも長方形で立ち並び変化に乏しい。それが実は「扇形」となっていて、国道から眺めるとパースが効いて見える。先が窄まるので、想像を超えて変化する具合で、まるで騙し絵の様な効果が生まれる。

思っている以上に「奥行きがある。」「パースが効いている。」「空間が伸びる」などの変化を感じた時、人は「不思議」を感じる。何故、そう感じるかの謎解きまではせずとも、感じる。それが印象の良いものなら?肯定的に考えて良いはずだ。

伝わるだろうか?次に立体的に解説をしてみたい。



■関連リンク
空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その①
空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その②
空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その③
空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その④
空間を科学する・・・【光明寺】のスケール感 その⑤


以下にスケール感の検証リンクを。
■【MoAi in ny】の検証!
■【 DOMA/NATORI 】
■【DOMA/Hakodate 】
■【 DOMA/Yamanote 】
■【 DOMA/道南(South Hokkaido) 】
■【 Bookshelf 】
■【 Compact house 考 】
■【 一般的な住宅との比較 】
■【 佛願寺 】
■【 光明寺 】