本堂。

今年は無事に御門徒様と一緒に報恩講を執り行ったとお聞きする。とても嬉しい報です。その際の内陣の風景が届いた。一年の中で最も綺麗に整えられるのが報恩講で良いのだろうか?先日訪ねた時とは違い、正に絢爛。


このお寺の設計は、御本尊ありきで計画している。外陣と内陣を仕切らずにオープンに設える事で、親身な在り様を考えた。暗がりの奥に佇むのではなく、照明を浴びて表に立って頂く具合だ。手が届きそうな程に近く親しみある光景、ただし、凛として在る事も同時に欠かせなかった。

本堂はこのお寺の中で最も大きな空間だ。対して御本尊は、設計時に視察した多くのお寺の中でも特に大きいのだけれど、本堂空間の中では人形のように小さい。小さく見せてしまっては存在を軽くしてしまうかもしれない。光の扱い同様に御本尊をどう見せるのが良いか、大いに悩まされた。

空間を一点に収斂するよう設え、その中心に「場」を設けている。御本尊の目線の高さは施工中、最難関の課題だった。佛具屋さんに高さ調整のパッキンを何種類も用意して頂き、私も含め住職を始め寺族の方々皆で確認しつつ決めたのだけれど、この高さは満場一致だったと記憶している。2cm高い、低いで印象がまるで異なる、本当に微妙な違いが決定的な差になっていた。私一人が先走るでなく、本当に一緒に創り上げてきた空間。今は、無事に運用されていて、今年も報恩講を無事に終えたと聞けば、それは何より。

来年の報恩講は遊びに行けるだろうか?御門徒様皆様にもお会いしたい。