光明寺を訪ねる。

自然光でこの光景を創れたのは設計冥利に尽きる。しかも曇天の日にも関わらず。光明寺は本堂、その内陣の一枚。本当に久しぶりに、ここに辿り着けた。


伝統的な本堂の内陣は柱、梁、欄間、建具等で仕切られた奥に、開口を持たず深淵の暗闇を作り、金箔の壁天井が蝋燭の灯に映え御浄土をみせる。ここでは、光の扱いは正反対に、光を背にして内陣を構築している。

空殿の改修時、御本尊の後ろの背板をガラスに入れ替えたのだけれど、佛具屋さんに、「ガラスを入れて光を後ろから・・・」と話した時の事、「この人は何を言っているのだ?」という顔をされたのは忘れられない。

事例の無い挑戦、クライアントは勿論、施工者に佛具屋さんらを巻き込み良く挑んだものだ・・・改めて眺め身震いしてしまう。今は寧ろ、これが正解ではないかとすら思えている。蝋燭の灯りを使う為に意図的に暗くせず、金に頼る事もなく、ただ自然の光を使うだけで御浄土をみせる。

 


納骨堂、ここはエントランスから40m程先にある空間。この納骨堂も前例のない取り組みだった。新しい施設は基本的にロッカールーム形式しかない。落成時に、ここを子供達が走っていたのは今も印象に残る。

春分秋分の頃の夕方に訪ねたい。夕陽を背に納骨堂の阿弥陀様が輝く様は極めて荘厳。