【 project S寺 】計画⑥ 「完成予想図(パース)」内観。

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室内、南側を眺める。採光の要は高窓。ここは入子、外部建具を用いてその内側にもガラスを入れたい。或いは障子を納めようか。南の、太陽の陽射しは強い。小さな建築になるので慎重にしたい。納骨堂に入る際は一度南を向き、このホールの広がりで北側を向き進む。パース右手の壁奥に納骨壇が収まる。一般的な納骨堂は既製品の納骨壇がロッカールームの如く剥き出しに配置される。黒く化粧が施されなければサウナの更衣室かな?というのが実情だ。

大きくはない建築ではあっても整然と空間を創り、余韻を残せる居心地まで仕立てたい。上手く光を導ければ綺麗な空間が期待できる。動線の末端に落ち着きがあるのは、お寺なら良いだろうなと思う。


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お寺の動線がこの事業で拡張され納骨堂に連結し、末端となるここに導かれる。眺望に優れる北窓からは明るい林が眺められ、ここには中空に阿弥陀様をと想定した。ここで手を合わせる事になる。折角敷地には開けた視野があるので、それを活かしたい。

ちなみに、この窓を南側に向けると眩しい窓になる。このサイズだと恐らく眩しいだけの窓になる。阿弥陀様はシルエットになり、御尊顔を見るのも難しいだろう。おそらくその場合は障子を入れるだろうか。外は見えなくなる。

南窓信仰の強い日本では認められにくいけれど、眺望なら圧倒的に北窓が適している。南窓は光が強すぎる上に陽は移ろう。多くの場合、レースのカーテンなどで隠してしまうだろう。


この窓、実現出来るなら印象的だ。中空尊をどう設えるか、これは悩むだろう。ワイヤーで台座を吊り固定出来ればと想像している。ここに辿り着く動線の殆どは既存のお寺のもの、諸室を結ぶ「廊下」であり、忙しい時は玄関に厨房、受付、和室群があり、本堂のへの流れもあり正に雑多。ここを歩き辿り着く納骨堂では一度南に視線を向けて切り離し、更に奥で振り向かせて北を向かせ、ここに辿り着く。終点で出会う林の広がり、それを背にして中空尊に出会う。静かに向き合える場所を得るのを納骨堂設計の基本とした。


計画①
 計画② 計画③ 計画④ 計画⑤ 計画⑥ 計画⑦