【 project S寺 】計画③ 「計画案」を。

具体的に「計画案」、その方針を検討して行く。動線から想定し検討をしたのは次の3案、Type-AType-BType-Cを記す。さて・・・


【 Type-A 】動線を直線的に結ぶ。

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既存建築のエントランスの動線に直線的に納骨堂を配置、構成する。図面納骨堂のグリーンは納骨壇スペース、グレーは収納、黄色は納骨堂の阿弥陀様の場所、手を合わせる動線の末端となる。

最も当初はこれが正解になるだろうと考えていた。元々の納骨堂は左に折れて隠れる様に配置されていた。隅に置かれた印象があり、日陰な印象は拭えず。故に落ち着きがあるとも考えらるけど、理想的な健やかさがあるとは感じられなかった。既存の動線を拡張し延長する先に納骨堂の阿弥陀様が在れば、綺麗に拡張が出来、増築の意義が見いだせると考えた。ただ、既存の動線は諸室を結ぶ「廊下」機能しかなく、雑多な賑わいが満ちる場所、直結しては落ち着くはずの末端まで雑多な雰囲気に飲み込まれてしまう。

清潔感を得るには、この雑多を整然と整わせ、動線の端に落ち着きを与えて歩き辿り着く場所を健やかにする事が欠かせない。


【 Type-B 】既存動線から納骨堂で南を向く。

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次案は動線に直結せず、納骨堂内で南へ向く。果たしてこれは有効か?阿弥陀様と向き合うに南側は眩しく、阿弥陀様はシルエットとなり良く見えなくなってしまう。強い陰影のコントラストは印象的過ぎるかもしれない。建築可能範囲、既存建築との連絡出来る渡廊下の設置位置から、納骨堂に入った瞬間に左を見えれば突如、シルエットの阿弥陀様・・・余韻のない様は悩ましい。


【 Type-C 】既存動線から納骨堂で北を向く。

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Type-Cは、既存動線からの流れを納骨堂内で右手の北側に導く。建築可能範囲を考えると特に長く設定も出来る。「長く歩ける事」、効率や合理性を考えると不便に見えて、長く歩けると言う事は余韻を得られ「楽しさ」を導ける最も確かな術になる。もちろん間違って使えば長いだけで不便になってしまうけれど。

北を向いて出会う阿弥陀様は北側の谷、林を背にして在る。大きな窓から眺めるなら、南側の太陽光をスポットライトにして照らされた綺麗な林が背景になる。眺めるなら最善の窓となり、これを背にして阿弥陀様が在るなら強いコントラストはなく、落ち着いた光景が可能になる。よって、このC案を先ず計画案として進めた。

動線は納骨堂に引き込んだ後で一度南を向き、奥で更に折り返し北を向く様に調整をした。北向きの窓、阿弥陀様の場所は最良だ。ただし、室内は暗くなりがちの構成、室内の採光を整える必要がある。加えて、本堂の横の配置、外観が景観に無理なく馴染ませられるか、佇まいへも想像が進む。


ここまで来るのに時間は相当に要する。この間に敷地を訪ねたのは3度、長々と観察し過ごした。どれを使おうか、使うのが最善か、何が使えるか、などなど観察しつつ。何度も室内の動線を行き来し、朝に昼に夕に夜に観察し、気持ち良さを確かめつつ、居て不快か快適かを想像しつつ納骨堂を思い描いた。

理詰めではある。それが最良かどうかは先ず、この案を詰めて問い考察を深めてから更に検討をする事になる。


計画① 計画② 計画③ 計画④ 計画⑤ 計画⑥ 計画⑦