【 project S寺 】計画⑤ 「完成予想図(パース)」外観。

先に採用したType-Cを使い計画をし、平面は図面にしたものの、その空間、建築はどのようなものか?パース(完成予想図)を製作する。その労の成果を披露しよう。

 

f:id:N-Tanabe:20200923174055j:plain

このビジョンを当初から思い描いていた。規模内容が固まるまで待ち、姿にしている。パースは調査時の写真と組み合わせている。中央の、寄棟の端正な建物が納骨堂。本堂のそり上がる屋根は高価なので考えず。ヴォリューム感のある屋根を質素に仕立て、本堂と隣り合っても違和感なく一体的なお寺に見えるデザインを探す。シンプルに設えられればモダンさも醸せる。

仮にこのイメージを最初から書き出してしまうと、他の肝心の部分に無理を強いてしまうかもしれない。思いが先走ると順が逆になり要望を担うのが難しくなる事もある。込めるには準備が必要、必要な諸スペースに機能を十分に検討した後に手を動かす。

条件を満たして得たこの姿、初案の完成度は高いぞ。


f:id:N-Tanabe:20200921232220j:plain
西側高みからのやや俯瞰景、増築棟の全体が見える。プロポーションは建築において重要だ。諸条件を満たした上で既に絞り込んでデザインを起こしている。そうする事で既存のお寺に良く馴染む様に取り組んだ。

計画①で述べた8項目までの、要は便利さまでの探求で終えた設計は一般に肥大化傾向にある。大きいと余計も仕舞えるし便利そうに見える。ただ、それはスケール感を犠牲にしてしまう。後にプリポーションを問えない計画にしてしまうと、便利な建築は出来ても良い建築を得るのは極めて難しい。その意味で「計画」は非常に重要だ。将来得る建築の行方を決める最初の判断になる。


f:id:N-Tanabe:20191016121402j:plain課題は南側の高窓採光。計画時ではここまで。小さな建築だけれど屋根は大きくしたい。本堂に寄り添い違和感の無い一体感が欲しい。Type-C案は北側の明るい林を眺め、阿弥陀様に手を合わせる空間が要になる。その室内を明るさに満ちさせるには工夫が欠かせない。どう採光するか?高窓は最善の手になる。ただ、端正な外観で使える採光窓、デザインにおける課題も理解出来た。

外観のデザインは当然、インテリアとも呼応する。私の設計では特に「光」を大切に考えるので尚一層無駄が出来ない。これまで設計した建築、或いは見に行った傑作建築を眺めても、良好な光のある建築を得るのは極め難しい。何となく知った気で、無知で理解無く挑むには非常に危険だ。分からなければ採光を頼らず人工照明に頼る方が間違いなかったりする。つまらないけれど。

この案が今後進むなら、模型を作りリアルな空間で実際に光を当て検討を重ねる事になる。最良の採光を得る開口が外観のデザインを壊さぬようにまとめるには、更に難しい挑戦になるだろうと思う。この時点でそこまで理解が出来るので、必然的に設計も覚悟を決める。

計画① 計画② 計画③ 計画④ 計画⑤ 計画⑥ 計画⑦