光明寺を訪ねる。

少し前の事になるのだけれど、雪降る前にと訪ねたのは音更で設計をしたお寺、光明寺。住職にはお話は伺っていたし、写真も送って頂いていたものの、やはり自分の目で見ておきたい。本当に久しぶりの機会だった。

本当は、写真を載せるなら晴天時のと思うのだけれど、この時は曇天の空、折角の機会なのでそのまま写真を載せる。

2019年7月の落成、11月の報恩講の後翌春から多くの機会が失われたものの、今年は制約はあるものの報恩講を執り行うとお聞きしいている。おそらく無事に終わった頃だろう。

設計期間は1年以上に及び、ここにあった旧お寺にて全ての定例行事に参加させて頂いた。同じ宗派ではれば施設の内容は変わりないのだけれど、このお寺の勝手を見極めたく観察を続けた。設計終盤には様々な機会にどう使うのか?住職や坊守等と議論が出来ていたと思う。要望のままなら3割増しの規模になっていたと思う。敷地やコスト等の条件から制約は多く、このコンパクトなプランは大きな成果に違いない。

本当に、相当に議論をしつつシミュレーションをしてきたので、想定していたなかった事態にどう対応されたのかをお聞きするのは楽しみでもある。今は葬儀は葬祭場で行われるのが常なのだけれど、幾つかの葬儀を行う機会もあったとお聞きする。或いは、ヨガ教室も行われているのだとか。



コンパクトなお寺ではあるけれど、それ相当に大きな建築。全長は70mを超えるので、境内駐車場からは超広角レンズがなければ全景を撮れない!⇒全景写真はこちら。

常なら、理由もなく訪ねるだろうに、札幌ナンバーでウロウロするには謀られ、見ないうちに垣根の背丈が随分と伸びていて驚いた。この角度では見えないのだけれど、エントランス脇の坪庭は綺麗でした。



晴れてたならなー、とは思う。外壁にはモルタルリシン吹付と、やや古風な仕上を用いている。綺麗な塗装仕上げも選択肢ではあったものの、丁寧な左官仕事を要する仕上は経年変化に堪え風合いを醸すだろう。メンテナンスも容易だし。写真右手に伸びる薄い庇は変わらず綺麗だ。これで40m程の長さもある。


竣工時にはか細かったのに野性味を見せる垣根、立派になったなー


感心させられるのは、本当に綺麗にされていること。建築は数年も経たならぺんぺん草も生えていたりする。今回は咄嗟の来訪だったので、恐らくは日常を見る機会だったと思う。境内は整然として節度をもって人を迎えて下さる。その気持ち良さは日頃の心配りがあればこそ。如何に建築が立派で綺麗に出来ていても、その心配りを欠けば気持ち良さは損なわれてしまう。質素な建築であっても、古びた建築であっても、大切なのはその心配りに違いない。広大な境内を思えば本当に大変な事に違いないのだけれど、心から嬉しい再会だった。

そこは設計者、友達善として訪ねたつもりが・・・車を下りた時に襟元を正すくらいに凛としてしまう。

写真を眺めると、垣根はもう少し野性味を抑えた方が宜しい?日当たり良いし育ってしまうのだろうなー。

門徒さんに器用な方があり、旧お寺での報恩講前の「お掃除」の際に剪定をされていた。お話をお聞きしつつ邪魔してしまったのだけれど、野性的に伸びていた垣根が夕方までには整然としていて驚いた。今は住職自らもしているのだとか。自分達で作る空間、一々が楽しい。