空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その②

空間の考察、その①に続いて立体的な解説をしてみたい。先ずは、簡素なモデルを使って説明を。



国道からお寺の建築と境内を眺めると、じっくり観察すれば別として、車で移動するなら、この様なヴォリュームに捉えられると思う。この目線では、道路は直交しているとしか見えない。


道路が直交していると認識すれば、境内はこのような長方形の空間であると頭は認識し、想像してしまう。


ところが、道路は斜めで鋭角の敷地の実際は、このようなパース効果が働いている。頭が認識した空間と見比べると、かなり違いの或る事がわかる。


建築は奥に行く広がるので、このパース効果を助け、より強めている。既に、まるで騙されているかのよう。


建築の屋根は、奥に行く程に低くなる。深い軒の屋根は常に壁面に影を落とし、目線を誘導する。軒先が低くなるのは、観察すれば理解できるものの、車目線では目線を奪われるだけ。ここでは高さ方向でもよりパース効果を強める働きをしている。


 
並べて見ると、違いは明らか。実際には領域線はないので感覚的な把握になるのだけれど、無視の出来ない「変化」が起きている。

国道沿いで目に入る大きな施設建築や駐車場等の空地は、なだらかに続く平地と大きな空の下で四角四面に広がっているように思われるのに、こんな空間が差し挟まれると、対比的に「あれ?」と気付く人が現れるだろう。多くの場合、気のせいだと思うに違いないのだけれど、この変化は嫌なものでなく、肯定的なものではないかと思う。
 


■関連リンク
空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その①
空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その②
空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その③
空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その④
空間を科学する・・・【光明寺】のスケール感 その⑤


以下にスケール感の検証リンクを。
■【MoAi in ny】の検証!
■【 DOMA/NATORI 】
■【DOMA/Hakodate 】
■【 DOMA/Yamanote 】
■【 DOMA/道南(South Hokkaido) 】
■【 Bookshelf 】
■【 Compact house 考 】
■【 一般的な住宅との比較 】
■【 佛願寺 】
■【 光明寺 】