雄阿寒岳

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津別峠に登ると、道東のパノラマが見える。屈斜路湖のパノラマで有名な美幌峠の標高はWikipediaでは525m、津別峠は947mとなっている。この高さから眺めると雄大、道東の東側の多くが目の当たりに出来る・・・この日は曇が眼下にまで垂れこめ湖面が僅かに見えた程度であったのだけれど。屈斜路湖は噴火したカルデラ湖で、それは正に道東を作り上げる規模の噴火だったらしい。北海道を眺めると屈斜路湖洞爺湖はその規模の迫力を、今は湛える水の量で示している。深すぎて厳冬期にも凍れない湖。

屈斜路湖の東には硫黄山があり、今も煙を吹き出し硫黄臭で覆う。その向こうにある摩周湖カルデラ湖、噴火は7000年前とかなり最近の事だ。あれだけの穴を地表に開けてしまう噴火は、その火砕流屈斜路湖の外輪を超えて道東は西側広域にも広がったのだと聞く。7000年前は既に多くの人が北海道に住んでいて、道東にもあちこちにその時代の遺跡がある。一時は確実にその全域を壊滅的に焼き尽くしたらしい摩周湖。焼野原も7000年も経過すれば阿寒国立公園として自然豊かな場所になっている。

今も活火山な雌阿寒の手前、雄阿寒岳が峠山頂からは見える。こちらは霞みつつも綺麗に見えた。幾つもレイヤーを重ねたような構図は圧倒的な距離感故、遠くまで見通せるが故に重なる。手前の高木、次の木がわかる山、その奥左手の小山、その向こうは屈斜路の外輪、その奥に雄阿寒岳、更に奥にも・・・各々が一枚一枚の紙を重ねた様にくkっきり見える。なんだか面白い。「奥行き感」とはこの事か。

奥の紙(レイヤー)程、自分が動いても動かない。元も手前の高木は自分が動けば消えたり、もっと大きくも出来るのに。室内に僅かでも自分の動きに呼応する部分と変化を見せない程の遠くを導けるなら、空間に奥行きを与えられるかもしれない。スケール感が厚く膨らむのなら、解放感なのか、閉じた室内ではない広がりが感じられる。