春を確かめに。

今のご時世、どこまでして良いのかは悩ましい。指示や要請に従えば十分かと言えば、日常を送るのに外出はする。どこまで責任ある行動が出来るだろうか、試されているのだと思う。遠出するのは、やはり謀れる。これは先週末の事、夜明け前に出発し、午前中に戻るドライブをした。トイレ休憩はしたものの、基本は人に接しない、屋外での活動だ。出先で事故を起こしたり合ったりすれば迷惑を生じてしまうので、一際慎重だった。訪ねたのは噴火湾方面、慣れ親しんだ光景は年に何度か訪ね、変わらぬ事を確認し、自分をリセットしてくれる場所・・・朝飯くらい、どこかで食べても良いのかもしれないけれど謀られ、一人でふらりと静かに探しに行った。

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まだ雪の残る中山峠を越えて洞爺湖へ。丁度陽が登った頃、巨大な湖面は静かで中島はシルエットだ。

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観たかったのは有珠の善光寺。影を見て分かる様に、朝陽は長い影を落とす。まだ雨戸は開け放たれては居ず、閉ざされたお寺の佇まい。一昨年は縄文探検隊で訪ねてもいる。その際は宝物館を案内頂き江戸所以の巨大な仏像や円空仏(本物)も眺めた。

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ここを訪ねるのは昼間か、夕方が多かったので朝早くの静かな光景は新鮮だった。大きな茅葺屋根が印象的な本堂を望む。

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本堂の階段、手摺の欄干の影は板の間に伸びている。

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階段手前の土間、割れたひびは朝露を吸収するらしくそこだけは湿り気があり、長い朝陽に照らされ輝いていた。人為ではない網の目は一度気付けば興味を惹かれ、目を離せなくなってしまった。

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噴火湾から室蘭へ向かう際は必ず寄ってしまう港から、白鳥大橋越しに室蘭の工場群を眺める。釣り人が幾人か居た。普段ならきっと、何が吊れるんですか?と訪ねるだろうに、この日は寡黙に過ごす。朝はシルエットになる光景、工場は止まることなく動いている。

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この日は特に驚いたのだけれど、何故今まで意識していなかったのか不思議でならない。左は灯台のある大黒島、そして、右は森町のある駒ヶ岳だ。噴火湾を閉じる様に航路を結べば室蘭ー森は最短距離にある。噴火湾沿いに回る道路や鉄路は実に遠回りだ。函館に通っていた頃はそれを痛切に実感させられた。この港に入ると真正面に駒ヶ岳が聳えていた。羊蹄山有珠山駒ヶ岳、苫小牧方面へ進めば樽前山がある。北海道の位置地域の景観となる標の山々を眺める旅程だった。慎重だったからこそ、まだ人の出歩かない時間帯で静かに観察できたからか、あれこれ気付く。何度も訪ねた場所なのに改めて発見するとは節穴の自分の目を憂う。びっくりだよ、駒ヶ岳。森町は学生時代から親しくさせて頂いている友人の故郷で、駒ヶ岳を眺める時はいつも思い出す。この写真を添付してメール送ろっと。

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白鳥大橋を渡り地球岬には寄らず観光道路、太平洋と噴火湾の稜線にある細い道を行くと出会うトッカリショからの眺め。中央遠くに見えるのがイタンキ浜。子クジラの様に伸びる半島の向こうに親クジラが見える。親と子の間にも浜がある。イタンキ浜は夏の1週間程度を海水浴場として開放される。そもそも太平洋に面している事もあり波は高いので、テトラポットが敷き詰められている。奥の浜は防波はされておらず大きな波がある。所謂、室蘭栄高校前の浜だ。室蘭工業大学から下って来ると出会う海で、何度訪ねたかわからない。

断崖絶壁の太平洋側のこの光景は、少し前にブラタモリでも案内されていたと思う。遠くに見えるのは、クッタラ湖のカルデラなのか、樽前山なのか、確かめた事はない。

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トッカリショの入江、嘗ては漁村があったらしい。番屋の廃屋や浜から続く荷物用のロープウェーがまだ残っている。階段もあり降りられるけれど、結構しんどい。でも、浜まで下りれば絶景がある。

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笹で覆われた崖縁の景色も印象に強い。先端の稜線沿いには隼が何組か生息している。室蘭の隼を撮っている方の写真集もある。結局、一度も歩いた事はないのだけれど、笹薮の中に獣道の様な道が浮かび上がる。あちこちにあるのだけれど、誰が歩いているのだろう?整備さない道、散歩には険しすぎる。何より太平洋側は常に強い風が吹く。とても穏やかに散策する場所でもない。にも拘らず、しっかり踏み慣らされただろう道がある。行こうかな?どうしようかな?装備して次の機会にと何時も思う。そのうちに実行しよう。でも、怖いだろうな・・・


この一週間、北海道はこれまで以上に厳しい状況に陥っている様に見える。主は札幌に違いないのだけれど、思いの外全道各地で発生をしている。自分は、予防すれば足るのか自身が感染源にもなり得るのか、平素気を付けてはいるものの不安は過る。先週は人に会わない状況であればと思い行ったものの、やはり今は大人しくすべきなのだと思う。友人は三週続けて森林公園を歩いたらしい。彼にとっての特別な場所、3週続けては印象的らしい。春のこの時期は一気に華やぐ森でもあり、楽しいに違いない。仕事でない限り、慎重な行動は欠かせないとしても、訪ねる事の出来る場所は探せるのだと思う。せめて少しだけ遠出が出来るくらいの環境は残しておかないと。札幌から来ました!で毛嫌いされる状況なら仕事にならない。

束の間の、楽しく過ごした際の写真を貼る。観光地や施設、食事に寄らずとも楽しい時間を過ごせたので。