尾を引く光点。

あれこれと書いておきたい事は溜まり、書き挑んでは悩み止まり、そのままで過ごしている。その時に感じた事、思った事、浮かんだ事には勢いがある。そのまま記すと感情的で、と言って時間を置けば熱を帯びず説明的で、そこはとても難しい。

設計も同じ。感情的な熱は必要だけれど、説明できる冷静さも必要。『空間』と同じく良いものを得るにはバランスが欠かせない。

と、意味ありげに無精の言い訳を。

今宵の夜更けは、LIVE配信を眺めた。何やら随分遠くの「天体」へ行き、帰って来たものが切り離したカプセルの光る軌跡を眺める為に。最も、それを管理されている方は後に届くビーコン入感を持って拍手が沸き起こっていた。

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#はやぶさ2

この中のどこかに『はやぶさ2』が居るらしい。知人から送られてきた画像は・・・天の川の渦中だそうだ。最早、ノイズの如く煌めく星々に交じり、地球から近いので僅かに、太陽の光で光って見えているのが何処かに写っているのだとか。探せるわけが、無い。

タイムマシンで時間を移動すると何処に出るのか?少なくとも自分の知覚出来る地球上の何処かに出て来れる可能性はない。地球は自転し、しかも公転し、更に銀河を回り、その銀河も光速で広がっているのかな?自分を中心に出来る魔法のような技術があれば別として、この世の原位置を特定出来る手段が無い。一秒でも後先に移動すれば間違いなく宇宙のどこかに出現してしまう。映画『Back to the Future』のように行ったり来たりするには恐ろしく不可能と思える計算が必要になる。ドラえもんなら魔法のように出来るかもしれないけど。

はやぶさ2も、小さな天体に行ってきたらしい。往路は公転する地球を追いかけ、自転する地球の特定100km程の地表に向けて、自身も動きながら近寄りつつ、直径40cm程のカプセルを切り離して落下させたのだそうだ。その小さな物体が大気圏で空気の摩擦で発した光の点が見事にLIVEで流れていた。カプセルの中には何かしらが入っている可能性がある。もうじきピックアップの報があり、近々に中に何かあるかどうかが伝えられるだろう。本来なら、大挙してオーストラリアに人は押し寄せ、数多くの火球の写真がネット上に上げられていたに違いない。

自分は読み聞きした事しか知らない。観たのは光点のみ。そもそも、はやぶさ2が訪ねた先の天体も地球からは光点にしか見えない。しかも、ノイズかな?という程度の僅かな光。太陽の光を反射した僅かな輝きを、誰かが見逃さずに選んだのだ。

見つけたほんの僅かに光ったものが天体で、しかも火星と木星の間にあるもので、現代の技術で行ける範囲にあると確信し、そこに行こうと思い立ち、探査出来れば太陽系の何某かを知らしめる手掛かりを得ると価値を見出し、到達するに必要な技術が有益であり、具体的に計画をし、予算を見事に確保し、数多くの制約のなかで実現への道を模索し、探し当て、それを実行に移し、飛び立った。長い時間を費やして飛び続け、その間に幾つもの試練を経験し、何か少しでも狂えば、それが失敗とは呼べないような些細な違いでも出会う事が不可能になる程の、針の穴どころではないピンポイントへ向かい、到達し、初めてチャレンジ出来る機会を得、臨機に挑み、タッチした。2度も。そこから帰って来たんだね。

という物語を、テレビで観た程度の知識の私でも、あの尾を引く光点を眺めると、ぞくぞくと背筋で感じるロマンを知る。