カテドラル その⑤ 【 ケルン大聖堂 】


ケルン大聖堂 (Kölner Dom)』

ゴシック様式の教会が如何に巨大で荘厳か、まざまざと実感させられたのがケルンの大聖堂だった。イタリアなら大理石、ドイツでは黒い石が採れる。その黒い石で積み上げられた山は人工物とは思えない巨大さで自然の景観化と思わせる程だった。

夕方か夜に描き始めたスケッチだと思う。初めて見たゴシック様式の教会は巨大過ぎて何がなにやら。ペンで線を引いたのでは間に合わず、おそらく暗がりで立ったまま、鉛筆で造形だけを追ったのだと思う。

室内は更に暗く、束ね柱は高く何本も聳え、典型的なバシリカ様式の室内の奥深さと巨偉大な空間の迫力は圧倒的で、一つの確かな世界が広がる。

ドイツの街の多くは世界大戦で破壊されていて、欧州の多くの街にある旧市街が存在しない。この教会は意図的にだろうけれど奇跡的に喪失の危機を免れ今に至るらしい。

教会前の広場に昼も夜も人が多くいて、大道芸もあり、とても賑やかなのに背後に聳える建築は黒々として不気味ですらある。しかも極めて美しい。



2度目に訪ねた際はライン川から眺めスケッチをした。後方からの眺めはフライングバットレスがあり小塔が幾つもならぶ荘厳さ。手間の彫像は皇帝ヴィルヘルム2世騎馬像。

便利な世の中、ネット検索すると丁寧に遍歴が記されている。1200半ばに3代目として建築が始まり、完成したのが19世紀とある。とんでもない長い時間、諦めずに作り続けていたようだ。町の中に数百年、千年に及ぶかもしれない昔から存在する建築があるのは、とても不思議に見える。特に北海道には古い建築がない。木造文化故でもあるのだけれど、それにしても町をどう築き何を残し記すのか?文化の違いはとても大きい。


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