カテドラル その④ 【 ノートルダム大聖堂 】


ノートルダム大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame de Paris)』

数年前に火災に見舞われ、燃える屋根が崩れる映像は衝撃的だった。フランスはパリの象徴だろう建築が喪失されるのか?その現実が伝わる。実際には石は焼けずに残り、今は修復作業の真っ只中だと聞く。

フライングバットレスの美しいこのゴシック様式の教会は後ろ?から眺めるのがカッコよいのだけれど、幾何学のような端正なファサードも興味深く、構成を記そうとした一枚。おそらく探せば図面があるだろう。黄金比なり美しさの構成秘話があるに違いない。

真円ではなく楕円を使うバロック様式は別として、巨大な組積造建築を得るには構造理解は欠かせず、必然的に「幾何学」は重視されたのだと思う。それがデザインとしてファサードに表出するのはフランスの特徴ではないかと思う。イタリアであれば均整を整えつつ優美な線が現れるように思う。

巨大な建築は美しく目を奪われ、四週を巡るのも随分歩かされるものの、かなりの時間をここで過ごしたと記憶している。本当は後ろから描きたかったはずだけれど、正面の不思議な造形を理解しようと試みスケッチし、結局は後ろからは描く時間がなかったような。スケッチ下の落書きこそが実は大切だろう。

パリは見所が多く2週間くらい滞在しただろうか、実に優雅な旅だった。このスケッチを手にするのに半日は要している。もっと長かったかもしれない。あれ?なんだろう?と気付き、覚えた興味を確かめ、スケッチを始めるのだから。今、旅をすればきっと2時間で、などと区切って予定してしまいそう。それでは見ただけかもしれないな。


おそらくこの頃は、パリでならポンピドーセンターにある近代美術館でジャコメッティーの絵を見た影響から、とにかく線を重ねたくなっていた。線だけで紙面を埋め尽くしたい衝動が抑えられない。


■記事一覧
カテドラル その① 【 ウェストミンスター大聖堂 】
カテドラル その② 「カテドラル」デビット・マコーレイ作 岩浪出版 
カテドラル その③ 【 キングス・カレッジ・チャペル 】
カテドラル その④ 【 ノートルダム大聖堂 】
カテドラル その⑤ 【 ケルン大聖堂 】
カテドラル その⑥ 【 サグラダ・ファミリア 】