パン②・・・歯が立たないドイツパン。

それはフランクフルトのユースホステルの朝のパンであった。初めての海外は欧州、最初の地はドイツであった。アレコレとあってようやくたどり着いたユース、腹を空かせて食堂へ行きトレイを取る。載せたパンが「ゴツン」と音を立てた。あれ?とは思った。

パンとチーズとハムに珈琲だったろうか。席について眺めたものの、このパンはどう見ても硬い。歯が立つわけがない。ちぎる事も出来ない。「石」とまでは言わないものの・・・困り果てた。で、横の人を見て驚いた。

ナイフを、刃を下にして握りパンに突き立てていた。

食べない分けには行かないので、私も真似た。遠慮せずに突き立て、初めて刃が刺さる。そこから少しずつ割り広げ、上下二枚に下した。二つになった丸いパンにチーズとハムを挟んでサンドイッチとなる。パンの切り口から食べ始めると・・・美味しい。

異国の地で、これを食べなければ死ぬ状況で、しかも頼れる人は居ない。そこでパンの食べ方を覚え、その美味しさを知った。以来、かたいパンが好きだ。バターの少ない質素なパンが大好きである。小麦の甘さ?だけのパンがいい。

好き嫌いの無い私は半年の欧州の旅で一度も日本食は食べなかった。ラーメンとか、ご飯を食べたいと思った事はあったと思うけれど、何処へ行ってもパンが美味しかった。


フランクフルトでの一枚。後ろには大聖堂があり、眺めているのは古い何らかの建築の基礎部分。今はここに上屋が掛かっているらしい。ドイツの多くの街は第二次大戦で破壊され古い建築は少なく、街中にも新しい建物が多い。けれど、基礎部分は古い時代のものが残っている。

食と文化は密接に関係するに違いない。特に食に拘る事はなく、腹が満たされれば良い程度だけれど、どうせ満たすなら美味しい方がいい。



■パン記事は以下の6つです!
パン①・・・大福より「パン」だった。
パン②・・・歯が立たないドイツパン。
パン③・・・北欧でサンドイッチ
パン④・・・パリで街角フランスパン(バケット)
パン⑤・・・番外編はオンネトー
パン⑥・・・パン屋を設計する。