佛願寺 その② 本堂


このお寺には古く立派な本堂がある。訪ねた際は、覗かせて頂く。ここが健やかなら安心が出来る。今は会館があるので使用頻度は低く、いつも綺麗に保たれている。内陣に明かり灯してくれたので、手持ちのスナップ写真ではあるけれど、一枚を案内。

ちなみに伝統的な本堂の建築はとても高価だ。同じ頃に本堂を新築される知人の現場があり尋ねると、このお寺の1期工事のコストでは遠く及ばず、驚いた。

計画時に図面はなく、実地調査し図面を起こした本堂はとても古い建築で、例えば外壁は土塗壁なのだけれど、下地には『竹』が使われていた。竹?自分の現場ではここでしか出会った事はない。渡廊下を接続する際はとても緊張したのを覚えている。



本堂はとある道の正面に建ち、大切な街並みとなっている。本堂の左に一期工事、右に3期工事の納骨堂がある。

1期工事の際に特に悩んだのは、その大きさだった。要望諸室は多く大きく鉄骨造としたのだけれど、本堂に比べヴォリュームは圧倒的に大きく、主従が逆転してしまう。お寺なら、やはり象徴的な本堂の存在感を守りたい。

1期工事の建築は勾配屋根として、高さを低く保ちつつ軒さも出来るだけ低くさげた設計をしている。本堂屋根の稜線を隠さぬように心がけた。そうして良かったなと、訪ねた時はいつも思う。


余計を記す。
新築するなら、それが大きく立派であってほしい思われるかもしれない。このお寺では新築建築を本堂の引き立て役とした。中には無配慮に本堂以外の建築を建てているお寺もある。本堂を超えるヴォリュームの建築が並んで居たり、折角の大きな屋根の稜線が消えてしまったりする。並ぶ建築が安価な素材で出来ていたりすると急に現実味も増してしまい、それはとても残念な光景に見えてしまう。

佛願寺は今も立派な本堂を称え街並みとなっている。この事はとても重要だ。