フィルム時代のカメラで、模型を撮るために手にした古い
レンズがあって、当時はとても気に入っていた。
アダプターを介すると今も使えると言う事で、持ち出す。
忙しかった事もあり、しばらく足が遠のいていたけれど、
近くだし、適当に自然が自然らしくあった、心地も良いし、
水源地の散策はどのシーズンも楽しい。
平成始めのレンズは、何と言うか昭和っぽい雰囲気に写る。
開放側で撮ると、周辺の光量が不足するという事なのか、
今のレンズの様に都合よく明るく綺麗には撮れないらしく、
昼間なのに撮り方によっては薄暗くなり、しかし案外、
とても好みに撮れていた。
雪面の溶け具合や、所々の雪の切れ間に出来る氷は
春近しという印だろうか。
雪原の在る頃の林の影は、いつも好きで撮ってしまう。
夏は草木に覆われ隠れているけれど、「原」が影で浮かぶ。
木々はその枝葉や重なり具合からなのか、淡い影もあって、
明暗のグラデーションが綺麗だ。
池は雪に覆われていて、あちこちに在る足跡は狐か狸か。
陽を背に伸びる林の影はやはりグラデーションのある。
冬の森には明瞭な「線」が引かれていて気付けば面白い。