2020 タイ旅日記 ⑥ 『 ワット ラーチャボピット 』

本堂がゴシック建築の様な寺院で王宮とも関係があるらしい、旧市街にある中規模の寺院を一つ見る事が出来た。『 ワット ラーチャボピット 』は印象的だった。観光地化されずに今も寺院として使われている風であり、その境内は綺麗に掃き清められても居て、凛とした姿を見る事が出来る。

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道路際の敷地内にはたくさんの仏塔が並ぶ。墓地に該当するものなのだろうか?アプローチはダイレクトに直線で行われる。境内核心部分へは門を潜る。その奥に聳える巨大な塔が見える。

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門を潜り出会う主たる建築は像が左右で迎えてくれる。ここも金細工、カラフルな屋根。円形の低層部は柱が支えている。ギリシャの神殿の様相だ。

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さらに潜ると中央の円形仏塔が聳える。左右に本堂がある。この日は内部を観る事が出来ず残念であった。

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内部は円形通路がぐるりと回る。雨雪のある日本とは違い、人の居る場所を必ず屋根で覆う必要はないらしい。雨をしのぐ庇があれば十分、むしろ強い陽射しを避ける場所の方が重要なのかもしれない。

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本堂柱の部分。ここは「青」が多く使われていて高貴な印象を受けた。柱の面はタイル、角は光ものを埋め込んだ金細工で覆われている。

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柱頭は重要視されるけれど柱脚はプラケオもポーもそれほど重視していなかったように思う。床はタイ産だろう大理石。

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見上げる荘厳な屋根。こんな細工、北海道なら冬を越す度に落ちて無くなってしまうに違いない。

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プラケオはやはり特別な寺院だ。おそらくはレンガを積んで構造とし漆喰で塗り固め下地としている。ここにタイルや様々なピースが取り付けられる。白く見える部分は天板部分、点々とピースが一列にのみ施されていた。叩けば取れ、持ち帰れそうだよ。

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中央の仏塔の壁もタイル。ここはタイルが壁を覆う。その光沢は美しく、工業製品の平坦さではなく一品もののタイルらしく歪む輝きは、古い日本の建築でみられるフロートではないガラスの歪みに似て実に綺麗。

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本堂の壁のタイルは更に特別に見える。幾つか種類があるのだけれど、大きな一枚にはお釈迦様が描かれている。

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これが壁一面を覆う。どうしてこんなにお釈迦様だらけにしようと思ったのだろう?円形の空地に林立する建物、陽射しを映えたり、反射光を映えたりし複雑な光明を見せていた。


柱は気になる。西欧なのかギリシャの影響は強い。これは見たお寺全てに言える。その柱頭はギリシャで言えばコリント式柱に類似している。ただ、アーカンソーの植物ではなく違う植物をモチーフにしているようにも見えるし、基本的には金を用いる部位になっている。各々のお寺が建築時に自由にしたのではなく、何かルールがあるのは間違いないと思う。様式があるのだろうな。妙見真似で造られた違和感はなく整ったデザインであったし、このお寺を含め見た寺院は比較的新しい時期のものに違いなく、建築そのものは合理的でモダンと言っても良い。ただ、その装飾の凄さと金の輝きは特別であった。