2020 タイ旅日記 ⑳ 本堂。

北海道のみならず日本でお寺の本堂を眺めるなら、宗派の別はあるにせよ、ある程度厳格に秩序がある。先に取り組んだ音更のお寺の様に今日的な解釈は可能であると思うけれど、それは既成概念を壊すのが目的ではなく、既存の姿を周到し、その先を目指し発展的な姿を求めて設計をした。

壊すなら、既存のお寺など知らずとも出来るかもしれない。発展を望むなら、出来るだけ正しく実情を知る必要があった。あくまで建築的解釈ではあるけれど、事例見学では空間特性を見極めるべく何時も慎重に観察をした。

折角違う国で眺めたのだから、本堂の風景を一堂にしてみた。こう眺めると、基本構造・・・側廊のある形式は一般的で近しい基本構造を有しながらも個性豊かな具合を見て取れる。面白いなと素直に思う。

f:id:N-Tanabe:20200212050140j:plainこれはチェンマイ『ワット ジェットリン』の本堂。小坊主の修行風景、ご本尊に背を向け瞑想中の貴重な一枚。このシーンに出会えたのは幸運だったと思う。日本のお寺のご本尊は赤子の事く小さなものが多いけれど、タイのお寺のご本尊は基本的に大きい。バンコクのエメラルド寺院の小さな仏像もあるけれど、どこもビックリするほど大きな事が多かった。 

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『ワット チャーンテーム』の本堂。シンプルだけれど装飾は十分、柱脚の独特さもあり個性はあるのに装飾の具合が程よく品を感じた、チェンマイのおそらく特別ではない一般的なお寺。

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『ワットプラシン』チェンマイの由緒正しいお寺、その本堂の一つ。装飾は豊かで品もある。空間は古い空殿の存在感を引き立て呼応し、厳かであった。

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これも『ワットプラシン』の別の本堂の法要風景。実際に使われているシーンを眺められるのは貴重な体験だった。何一つ不足なく、なるほどと思う重厚な光景を見る。

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チェンマイ旧市街の北東の外れにある『ワット チェンマン』の本堂。簡素な空間ながら装飾の様は適切で、柱の柱頭、柱脚も適度な設えがあり明瞭、空間が綺麗だった。内陣手前は様々が点在するけれど、非常に印象が良い。

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チェンマイ郊外の『ワット ロークモーリー』の本堂は質素で重厚。天井の設えも含め原型に近い佇まいではないかと思う。

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チェンマイ郊外、廃墟の仏塔多数のお寺『ワット チェットヨート』の本堂。慎ましさはむしろ居心地良さもあった。

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チェンマイ郊外、旧市街西にある『ワット スワンドーク』の本堂は新しく、収容人員を確保するもの。こうなるとどこか商業的な雰囲気もあるのだけれど、丁寧なつくりだと思う。

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最後は『ワット チェットヨート』仏塔の洞窟堂の一枚を。


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